「ケアマネジャー交代」それはパンドラの箱だった
実は2020年秋、母のケアマネジャーを変えた。もともと変更の自由はあるのだが、うちの場合は少々厄介。当初のケアマネジャーはサ高住の運営会社の系列事業所の人で、交代は異例だというのだ。
コロナ禍で世間では「高齢者は外出NG」が声高に叫ばれ、その一方で、施設閉鎖を徹底することによる心身機能低下が問題になった。危機に直面した母が不憫になると同時に、デイサービスに行くか否かなど、難しい選択を迫られた私も苦しみを味わった。
そんな中、ケアマネジャーは運営会社の方針に従い、閉鎖を徹底するサ高住の側についた。母や私の苦境に寄り添う姿勢はなく、機能低下についての認識も浅かった。立場はよくわかるし、この状況では仕方ないと考えることもできたが、こんな状況下だからこそ不信感は決定的だった。
とはいえ、異例の交代には勇気が要った。居住者全員、同じケアマネジャーが担当しているので、これからも顔を合わすのだ。しかもサ高住のスタッフも同じ事業所の人たち。母にも何かしらの不利益があるかもしれない。何度も躊躇したあげくの決行だった。
案の定、交代後は気まずい空気に。後悔はないが、昨年末にちょっと弱腰で母のもとを訪れると、ホーム長やスタッフも何となくギクシャクする。すると、母が唐突に例の話を始めた。
「……それで、いじめっ子いませんか?って聞くのよ」
「Mさん(母)、いつも宣伝してくれてありがとう!」と、空気は一転、和やかになった。頑固な娘のこわばった表情に事情を見抜いてか、あるいは単なる偶然の一致か。「人と仲よく、うまくやりなさい」という教示にも思えた。
持ちつ持たれつの伴走介護は、まだまだ続く。
※女性セブン2021年2月4日号