テレビ東京の『ワールドビジネスサテライト』(WBS)が、4月改編で番組開始時間を1時間繰り上げ、「夜10時スタート」となることが報じられた。33年続く看板番組の“初めての引っ越し”は、テレビ業界を騒然とさせている。
あるテレ東の報道スタッフは「1時間繰り上げは昨年11月頃からほぼ決まっていた」と打ち明ける。
「在宅勤務の普及や飲食店の夜間営業自粛などで、ニュースの視聴時間や就寝時間がどんどん早まっていた。コロナが収束しても、定着した生活様式は元に戻らないだろうという、10年後、20年後を見据えての判断です。
また、景気の落ち込みが懸念されるなかでも株価が上昇するなど、経済情報への関心は高まっている。有料会員制の動画配信サイト『テレビ東京ビジネスオンデマンド』でも『WBS』の反応は特に良い。『報道ステーション』(以下、『報ステ』)を裏番組に回しても対抗できると読んでの“攻め”の判断です」
感染拡大の不安が高まり始めた昨年2月頃から、夜のニュース番組の視聴率は上昇傾向にある。なかでも好調なのが、夜9時、10時スタートの番組である。
「直近の視聴率(1月11~15日、以下同)では、NHKの『ニュースウオッチ9』が10.62%、『報ステ』が12.76%といずれも高視聴率をキープ。視聴率一ケタ台が続いている夜11時スタートのニュース番組と比べて高水準です。『WBS』もその流れに乗ろうとしているのではないか。
視聴率こそ3%前後だが、最近の『WBS』は話題を集めている。MCの大江麻理子アナ(42)がマスク姿で番組に登場し、感染防止を呼びかけたときは“素晴らしい報道姿勢”とネットで評判になった。4月改編のタイミングで超大物経営者のインタビューをやるんじゃないかと噂になっている」(キー局関係者)
とはいえ『報ステ』の壁は高い。前身の『ニュースステーション』の時代から“一強”状態が続いており、「他局はずっと“『報ステ』の裏”で戦うことを避けてきた」(同前)という。