2019年、ファンの女性たちと自家用車で逢瀬を重ねた「4WD不倫」で世間を騒がせながらも、直後に開いた「謝罪会見」での真摯な対応や、以降もさまざまなメディアで反省を述べながら過ちに向き合う独特なキャラクターで芸能界に「最速復帰」を果たした原田龍二(50才)。俳優はもちろん、YouTuberとしても活躍するかたわら、プライベートでは本を愛し、時には自らも文章を綴ることもあるという多彩な才能を持つ。そんな彼が最近読んだのが、映画化され、大ヒットを記録した小説シリーズ『スマホを落としただけなのに』の作者である志駕晃氏の初連載をまとめた単行本だ。
『彼女のスマホがつながらない』は、2020年2月~11月まで『女性セブン』誌上で連載された、『令和2年の女性週刊誌編集部』と『平成30年を生きるパパ活女子大生たち』という、異なる二つの空間が複雑に絡まりながら進行していく「リアルタイムミステリー」だ。
しかし、主人公は生活苦に悩んだ末、パパ活に足を踏み入れる大学生の咲希と女性週刊誌で働きながらもファッション誌への憧れを棄てきれない編集者の友映。性別も年代も原田とはかけ離れている。
「実はぼく、志駕さんの“スマホ”シリーズには並々ならぬ思い入れがあって、前作の『スマホを落としただけなのに』には舞台版に刑事役で出演していたんです。だからもちろん『スマホを落としただけなのに』も読んでいます。前作も面白かったのですが、『彼女の~』は、また違った面白さがあります。
主人公の彼氏がスマホを落とし、それを狡猾なハッカーが拾ってしまうことから事件が起きる『スマホを落としただけなのに』では、序盤からわかりやすい悪である“サイコパス”が登場するのですが、今回は、複雑な構成になっていて、どこに“悪”が潜んでいるのかわからない。この曲がり角に“悪”がいるかと、ドキドキしながら曲がってみると、あれ、違う。“死角”の多い迷路みたいで、最後まで犯人がわからないんです」
原田がこの複雑な構成とともに印象に残ったのは、小説の中で描かれる「パパ活女子」たちの様子だ。
「重要なテーマの一つとなっている“パパ活”ですが、やっぱり、お金って楽して稼げるものではないと改めて痛感します。主人公の一人である女子大生の咲希は、友人から誘われて、スマホの操作ひとつですぐにパパ活をはじめてしまいますが、『絶対にうまく行くはずない、落とし穴があるはずだ』とハラハラしながら読んでいました」
普段の生活では交わることのない“パパ活女子”に原田がここまで強く想いを寄せることができたのは、その描写の巧みさ故だったという。