デビューから多くの年月を重ねても、妖艶な色香を漂わせる杉本彩。彼女が25歳で挑んだ初ヘアヌード写真集『ENFIN』の衝撃が、ここに甦る。
「この写真は、25歳の時に出した写真集『ENFIN(アンフェン)』からのものです。フランスに長くいらしたファッション写真家の川島文行さんから熱望されて実現した企画でした。それまで、オールヌードで写真集を作ることは考えたこともなかったのですが、川島さんが創造する世界でまったく違う自分を見てみたいという素直な気持ちで挑みました。
撮影場所はフランス・パリ郊外のシャトー。コンセプトは川島さんが考えられ、衣装やメイクはパリで活躍するスタッフでした。一流アーティストが創る世界にいかに自分が溶け込むかを強く意識しました。体全体で何者にでもなって表現するという情熱に火をつけるきっかけになった作品でもあります。
当時は自分の進むべき道に迷いがあったのですが、この作品の中の私にはそんな迷いが感じられません。自分はやっぱり強いんだなぁと改めて思います(笑い)。
30代半ば頃に『エロスの伝道師』と称されたこともありますが(笑い)、表現者として、エロスを深く哲学的に理解したいという探求心は当時から旺盛でした。今も考え方は変わりませんが、残念ながら機会や意欲は激減しています(笑い)。こうして昔の作品が世に出る時に、読者の方々とともに私自身も楽しんでいます」
【プロフィール】
杉本彩(すぎもと・あや)/1968年生まれ、京都府出身。モデルとしてデビューし、『オールナイトフジ』のアシスタント役で人気が沸騰。女優・小説執筆などにも活躍の場を広げ、1993年には団鬼六原作の映画『花と蛇』に主演した。タンゴに力を注ぎ、公益財団法人動物環境・福祉協会Evaの理事長を務める。
撮影/川島文行
※週刊ポスト2021年2月5日号