池脇千鶴(39才)が“四十路ホステス”を好演して話題を集めているドラマ『その女、ジルバ』(東海テレビ・フジテレビ系)。このドラマで存在感を発揮しているのが江口のりこ(40才)だ。コラムニストのペリー荻野さんが江口の魅力について解説する。
* * *
どんどん面白くなってきたドラマ『その女、ジルバ』。そこに大きく貢献しているのが、“仏頂面クイーン”江口のりこだ。
ドラマの主人公・笛吹新(池脇千鶴)は、大手百貨店のアパレルで接客の仕事をしていたが、物流倉庫に出向となり、落ち込んで迎えた40歳の誕生日に偶然「高齢熟女バー」に出会い、アルバイトを始めた。昼間はもっさりした作業服で「おばさん」と呼ばれる新も、店ではキラキラドレスやカツラを身に着けた見習いホステスの「ヤングなギャル」だ。
江口のりこの役は、新たちのチームリーダーであるスミレ。彼女は、「左遷された」「姥捨て山」などと愚痴を言う出向組の仕事ぶりが気に入らない。当然のごとくムスッと仏頂面である。
なぜ、このドラマで江口の仏頂面が大事なのか。それはスミレがいることで、仕事ドラマとしての説得力が出るから。物流倉庫会社の社員で、自分の仕事に誇りを持っているスミレにとって、すぐ辞めてしまう出向組の存在がうれしいわけがない。非正規の人が多い職場で、各種手当ももらえる社員でいることのありがたさをわかっていないと、スミレは怒るのだ。
また、新や熟女ホステスたちの明るさもより際立つ。なにしろ、バーの面々は、80代のくじらママ(草笛光子)はじめ、着飾った60代以上のホステス(草村礼子、久本雅美、中田嘉子)らがにこにこと常連客とダンスを踊る。合言葉は「女は40から!」。仏頂面とは正反対で、とにかく明るい。だが、意外なことに、新に誘われて同僚のみか(真飛聖)と店で飲んだスミレは、傷つきながらも前向きな店の面々と心を通わせるようになるのだ。
あの仏頂面のスミレがみんなと仲良くなる!? この瞬間がいいのである。思えば、江口はドラマ『わたし、定時で帰ります。』では、結衣(吉高由里子)がビール半額のハッピーアワー狙いで通う町中華「上海飯店」の店主・王丹だった。王丹もふだんは仏頂面だが結衣のよき理解者で何気なく励ます係。また、昨年の『半沢直樹』では、政界の黒幕(柄本明)に圧力をかけられながらも、最後に自分の正義を貫く女性大臣役だった。