心臓がドキドキする、恐怖を感じて手足が震える……そんな症状が突然表れる「パニック障害」。ストレスを抱える人がなりやすいというが、内科などでの検査では異常が認められないこともあり、周囲に理解されないことも多い。
漫画家・イラストレーターのほりみきさんが、パニック障害を発症したのは2005年、娘のせいなさんが3才のときだ。
子育てに加えてイラストレーターの仕事や家業の手伝いとハードスケジュールが続くなか、めまいや倦怠感を感じても、「疲れているだけ」とごまかし続けていたという。ところがある日の深夜、突然動悸が止まらなくなった──。
「救急車で病院に運ばれたものの、検査では異常なし。不思議に思いながらも変わらぬ日々を過ごしていたら、数か月後にまた発作が起きたんです」(ほりさん)
今度は、食後リラックスしているときに突然動悸が止まらなくなり、再び救急車で運ばれた。その様子は、幼いせいなさんにとってもインパクトが強かったという。
「びっくりしましたね。母がレストランの駐車場で突然座り込んだので、“ママ、大丈夫?”って何度も必死に話しかけたのを覚えています」(せいなさん)
そんな愛娘の叫びは、ほりさんに届いていた。しかし、体の中から「ドン」と叩かれるような大きな動悸、そして頭が回り暗闇に落ちていく感覚がして、立ち上がれない。しかしこのときもまた、病院では異常なしと告げられた。
症状や感じたことのメモが診察に役立った
さすがにおかしい──。ほりさんは病気の正体を探るため病院を巡った。そんなとき偶然にも友人から「自分と症状が似ている」と、パニック障害の可能性を告げられた。すぐに、専門の心療内科を受診したという。
「私は小さなノートを持ち歩いていて、そこに症状や発作のときの気持ちを書いておいたんです。書くとホッとするものですから。これが診察に役立ちました」(ほりさん)
そしてほりさんは、ここで正式に「パニック障害」と診断された。
「原因がわからないことがつらかったので、ホッとしました。それに、薬(メイラックス)がよく効いたんです。初めてのんだ日の翌朝から、世界の輝きが違う感じがしました」(ほりさん)
その後何度か再発したものの、薬などでコントロールをしながら病気と向き合い、2012年にはパニック障害の体験をエッセイ漫画にして出版。それがきっかけで、テレビの取材や、講演の話も来るようになった。