新型コロナウイルスの感染拡大により、自宅で過ごす時間が長くなった。諏訪中央病院名誉院長の鎌田實医師が、動画配信サービスで楽しみたいハラハラドキドキの作品を紹介する。
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コロナ禍で各業界の明暗ははっきりしているが、動画配信サービスは間違いなく業績を伸ばしているほうの部類に入るだろう。
世界最大のシェアを誇るネットフリックスは、世界で1億9500万人以上の会員がいるという。日本でも会員数が500万人に達した。アマゾンプライムビデオもものすごい勢いで増えている。
ぼくは、映画は映画館で見るのが好きだが、コロナ禍でこうした動画配信サービスを利用するようになり、けっこうハマってしまった。
そこで、ご同輩の中高年男性に向けて、「ドキドキ、ハラハラ」した映画を紹介したい。ぼくの好みと気分で考えた、ちょっと心拍数が高くなるベスト8だ。
女性の怖さにゾッとできる痛快サスペンス
1位は、デイビッド・フィンチャー監督の『ドラゴン・タトゥーの女』。スウェーデンの映画をハリウッドがリメイクした。最近のジェームズ・ボンドを演じているダニエル・クレイグが出演している。
実業家の悪行を記事にしたジャーナリストが、名誉毀損で訴えられ負けてしまう。窮地に陥っているとき、富豪の老人から40年前に起こった姪の失踪事件を解明してほしいと依頼される。
その謎解きに絡んでくるのが、感情表現が苦手な天才ハッカー。ルーニー・マーラが演じている。華奢な彼女だが、暴力を振るうクズ男たちを完膚なきまでに追い詰めていく。人間の醜さをこれでもかと見せつけておいて、最後はジーンとくる素晴らしい映画だ。
2位は、『ゴーン・ガール』。偶然だが、これもフィンチャー監督の作品だ。大恋愛の末に結婚して5年、セレブの妻が突然失踪した。疑いがかけられる夫は、妻について探っていくのだが、あんなに愛していた彼女のことを何も知らなかったことに気がついていく。
身近な人が、まったく知らない顔をもっている。程度の差はあるが、その怖さはかなりゾッとする。
2位にしようか迷ったのは、『ハイ・クライムズ』だ。弁護士の妻と、建設会社を経営する夫は幸せな日々を過ごしていた。ある日、夫婦が暮らす家に強盗が入り、警察が事件を調べていくうちに、夫にもう一つの名前があることが判明する。夫は、過去に海兵隊の特殊工作部隊に所属しており、南米で一般市民を殺害した容疑で逮捕されてしまう。
軍事裁判を熟知するモーガン・フリーマン演じる弁護士の助けを借りながら、妻は軍のスキャンダルを暴いていく。しかし、大どんでん返しが。この映画もまさか、まさかと驚かされる。