放送作家、タレント、演芸評論家で立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。今回は、50年間の日本のはやり言葉(ギャグ)だけを集めた辞典を編集したことについて綴る。
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昔の歌番組などでよく司会者用に書いたのが「歌は世につれ 世は歌につれ」なんてフレーズ。そのあとに続けて「となりの婆さん孫をつれ」なんて事も書いた。近頃はどうやら歌は世につれないらしい。あの歌を聞けば「ああ、あの時代」なんて日本中が分かる歌は出にくくなった。今の時代すぐにその頃のこと、その時何歳だったと分かるのは芸人達やCMのギャグだろう。笑いを伴う流行語ということだ。いわば「ギャグは世につれ」だ。
私などが若い頃はギャグというと、もっと厳密な意味があったのだが、この節は芸人の決まりのフレーズなどを単純にギャグと言うようになった。言葉は生き物だから仕方がない。コロナで自粛気味の1年間、何かやらなければと思い、明治期から今日までのはやり言葉(ギャグ)だけを集めた辞典がない事に気付き、“ギャグ語編集委員会”を結成。このページでいつもイラストを描いてくれている佐野クンにも手伝ってもらい、1年間ひたすらコツコツとギャグを集め面白解説、面白イラストを書き、そして描きつづけた。
明治期の「オッペケペー」(川上音二郎)から、我々団塊世代なら「ガチョーン」「お呼びでない?」「やめてチョーダイ」「チンチロリンのカックン」、その次の世代なら「コマネチ」「もみじマンジュー」「そうなんですよ川崎さん」「アイーン」、その次の世代なら「大ドンデン返し」から「ゲッツ」「そんなの関係ねぇ」「トゥース」「乳首ドリル」と。
まぁ、ありとあらゆるギャグフレーズを書き込み面白コラムにしました。書きすぎてもう肩がこわれそうです。広辞苑の編集者達もきっとこんな感じなのだろう。これが一家に1冊あれば、むこう50年間の日本の文化が分かるでしょう。