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谷崎潤一郎、三島由紀夫、永井荷風… 文豪が描いた究極の背徳映画

文豪原作の映画にはどんな魅力が?(イメージ)

文豪原作の映画にはどんな魅力が?(イメージ)

 10代の少女を自分の理想像に育てようとする『痴人の愛』や、針で自らの両目を突き刺し、失明することで愛を表現する『春琴抄』など、名画座「神保町シアター」で2月19日まで、谷崎潤一郎や三島由紀夫、永井荷風などの文豪原作の映画が上映中だ。

「“文芸エロス”特集は常に人気が高く、今回は“背徳”をテーマに9作品を選びました。中でも、京マチ子の官能的な魅力を堪能できる『鍵』がお勧めです」(佐藤奈穂子支配人)

 かの文豪たちが醸し出す“背徳エロス”の魅力とは何か。

「戦後にキスシーンが解禁されましたが、1960年代前後はまだまだ性への道徳が存在し、そのため“背徳”に価値があった。AVなどでダイレクトな映像が見られる現代ではけっして生まれない作品で、エロスと浪漫の両方を味わいたいという欲求を満たしてくれます」(映画評論家・寺脇研氏)

 神保町シアターで特集上映されている伝説の映画9本を厳選掲載する。

●『痴人の愛』(1967年、大映東京)
原作:谷崎潤一郎 監督:増村保造 出演:安田(大楠)道代、小沢昭一、田村正和

 堅物の31歳の譲治(小沢)は、18歳のナオミ(安田)を住まわせ理想の女性に“飼育”しようとするが、次第に翻弄されていく。小沢昭一の怪演で倒錯した愛を描く。

●『春琴抄』(1976年、東宝)
原作:谷崎潤一郎 監督:西河克己 出演:山口百恵、三浦友和、中村竹弥、風見章子、井原千鶴子

 失明しているお琴(山口)と奉公人の佐助(三浦)は地震を機に恋が芽生える。佐助は針で自分の両目を突き刺し、お琴と同じ状態になる。

●『堕落する女』(1967年、近代映画協会)
原作:谷崎潤一郎 監督:吉村公三郎 出演:桑野みゆき、田村高廣、細川俊之

 令嬢の澄子(桑野)は数馬(田村)と婚約しながら、窃盗罪で逮捕された礼二(細川)にハマる。三角関係の末、澄子が選んだ相手は……。

●『鍵』(1959年、大映東京)
原作:谷崎潤一郎 監督:市川崑 出演:京マチ子、中村鴈治郎、叶順子

 夫婦の性生活、妻の不倫をお互いの日記を盗み読みする形で、物語が展開していく。1960年のカンヌ国際映画祭にも出品された名作。

●『細雪』(1959年、大映東京)
原作:谷崎潤一郎 監督:島耕二 出演:京マチ子、山本富士子、叶順子

 大阪・船場の旧家出身の藤岡美人四姉妹を描く。見合いを繰り返す雪子(山本)、恋人と死別する妙子(叶)など波乱万丈の展開に

●『肉体の学校』(1965年、東宝)
原作:三島由紀夫 監督:木下亮 出演:山崎努、岸田今日子、中川ゆき

 上流階級の夫と離婚した39歳の女性3人が定例会を行なったゲイ・バーで、妙子(岸田)は千吉(山崎)と出会い、同居生活を始める。

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