歌姫再び。1月30日にNHK総合で放送された山口百恵さん(62)のラストコンサート『伝説のコンサート“山口百恵1980.10.05 日本武道館”』が大反響だ。番組放映中は「百恵ちゃん」がツイッターのトレンドランキングを独占し、平均視聴率は8.6%と同時間帯でトップに。
当時を知らない若者たちも、「今の『可愛いアイドル』にはない艶っぽさがいい」と沸き立っているという。
なぜ、このタイミングでNHKが百恵ブーム再来を仕掛けたのか。引退した元芸能人の映像を放送するには高いハードルがある。知的財産権に詳しい虎ノ門法律特許事務所代表・大熊裕司弁護士はこう話す。
「芸能人の過去の映像を使用する際、実演家に認められている著作隣接権、著名人が氏名や肖像を無断で使われない権利とされる『パブリシティー権』が関連し、本人が許可しなければ権利侵害でトラブルとなりやすい。
百恵さんのように完全に引退した人の場合は窓口がないため、本人の承諾を取るのは難しいのが現実です」
ではなぜNHKは乗り越えたのか。スポーツ紙記者はこう話す。
「今回、NHKで番組の指揮をとったのは、百恵さんの現役時代から紅白を担当していた男性です。引退後も百恵さんに紅白出場の打診をしていた。百恵さんも『ずっと声をかけ続けてくれていたこの人なら』と映像放映のゴーサインを出した」
コロナ禍の下、民放各局では過去映像を使用する「懐メロ特集」に力を入れている。
「NHKを皮切りに、民放各局は百恵さんの動画使用のハードルが下がることを期待しています。各局、ベテラン社員を動員し、百恵さんの“お宝映像”の争奪戦になるのでは」(民放テレビ局社員)
伝説、プレイバック。
※週刊ポスト2021年2月19日号