中国広東省茂名市の20歳の男性ら14人が運営するウェブサイトで、習近平国家主席の娘、習明沢さんの顔写真や、習主席の姉の夫・トウ家貴氏の個人情報を掲載したところ、茂名警察が特別捜査チームを編成して、この男性のほか、中国各地に住んでいる23人のウェブサイト運営メンバーを逮捕していたことが分かった。なかでも20歳の男性は主犯とされ、昨年末の裁判で懲役14年、罰金13万元の判決を下されている。米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」が報じた。
懲役14年の判決を受けた男性は牛騰宇氏。牛氏の母親がRFAに語ったところでは、牛氏は13歳で中学校を中退。その後、コンピュータの知識を学び、2014年に中国のソフトウェア製作のコンテストで3位を獲得するなど、頭角を現し、ソフトウェア開発の仕事に就いた。
その際、コンテストなどで知り合った仲間と「支那維基(Wiki)」というサイトを立ち上げ、習明沢さんのIDカードからとった写真やトウ氏の事業の情報などを掲載したという。
そして、昨年8月、茂名警察の捜査員が牛氏を逮捕。さらに、吉林省長春市や新疆ウイグル自治区ウルムチ市、河北省張家口市、上海市などの中国各地にいるメンバー13人も同時に逮捕した。茂名警察は中国共産党公安省に対して「反中国勢力と共謀した悪の勢力グループを逮捕した」と報告したという。
これに対して、牛氏の母親は「荒唐無稽の作り話で、息子は国家に反抗しようとしたことはない。彼らは息子の罪をでっちあげるために、取り調べ中に拷問したり、3日も4日も眠らせないで、無理やり自供させた」などと語り、控訴する準備を進めていた。しかし、彼女が依頼した弁護団メンバーが辞退する事態に陥ったという。
弁護団メンバーの1人はRFAに対して、「匿名」を条件に「警察や政府から政治的な圧力があった。控訴の前に撤退を余儀なくされた」と述べている。
RFAなどによると、習氏の一人娘である明沢さんは現在、28歳で、2010年から2014年まで米ハーバード大学に留学し、心理学と英語を学んだが、親しい友人や教員を含め、明沢さんの素性を知っていた人は10人に満たなかったという。帰国してからは、習氏の特別補佐官として秘書的な仕事をしているが、中国の国家安全当局は明沢さんの安全を確保するため、写真を公開しないように関係部局に命じたという。