古来「万病に効く」と謳われた草津温泉の湯はコロナにも有効──。そんな研究成果を発表したのは群馬大発のベンチャー企業「グッドアイ」だ。研究にあたった群馬大学大学院の板橋英之教授が解説する。
「草津温泉水が新型コロナウイルスを『不活化』するかどうか検証しました。不活化とは簡単に言うと『感染力がなくなった』という意味です」
板橋教授は、「水道水」、「硫酸酸性水」、「草津温泉の湯畑源泉の温泉水」の3種類の溶液に新型コロナウイルスを混ぜてサルの細胞に感染させる比較検証を行なった。
結果、感染力は水道水と比較して、硫酸酸性水で80%減、草津温泉水では95%減となったという。
「硫酸酸性水、草津温泉水はともに『酸性』で、これがウイルスを不活化させたと推察されます。その上で草津温泉水のほうが不活化の効果が高かったということは、硫酸酸性水にはない、草津温泉水ならではの“成分”が不活化に作用したと考えられます。具体的にどの成分が不活化に効いているのかは、これから調べていきたいと思います」(板橋教授)
今回は、「湯畑源泉」の温泉水のみでの検証だが、草津にある他の源泉でも調査を続けるという。
この調査は、草津町が板橋教授らに依頼したものだった。町はこう説明する。
「かつて草津町には群馬大附属病院の分院があり、群馬大学さんは草津の温泉水の殺菌効果などについての研究を継続されてきました。その関係で、“新型コロナにも効くのではないか”と草津町から群馬大発のグッドアイさんに研究をお願いしました」(企画創造課)
結果を受けて、町はさっそく観光政策として源泉を使った「手洗い湯」を3か所整備する予定だという。
「2月中に少なくとも1か所は利用できるようになります。今はまだ“お越しください”とはなかなか言えない状況ですが、今回の研究結果は誘客の面で明るい材料になります」(同前)
コロナ禍においても「一度はおいで」となるか。
※週刊ポスト2021年2月19日号