「バディもの」ドラマといえば、『あぶない刑事』『相棒』など刑事ドラマを思い浮かべるファンが多いだろう。刑事ものに限らず、男同士の友情と結束を軸にする設定は、任侠映画やヤンキーマンガなどでも定番だ。それに対して、「女性コンビ」に焦点を当てる作品は意外なほど少ない。『週刊ポスト』(2月8日発売号)では、歴代の人気ドラマから「最強のバディ」を決める特集を組んでいるが、そこでも残念ながらノミネートされなかった「女性コンビもの」について、改めて探ってみた。
ドラマ評論家の田幸和歌子氏は、「女性同士の本格バディ作品が出てきたのは昭和の終わりから平成に入ってからではないか」と分析する。
「古い作品で特に印象に残っているのが、『素顔のままで』(1992年)の安田成美と中森明菜ですね。脚本は恋愛の神様と言われる北川悦吏子さん。『愛していると言ってくれ』(1995年)や『ロングバケーション』(1996年)が有名ですが、この作品は隠れた最高傑作だと思います」
安田が演じた図書館司書の香坂優美子は物静かで内向的な性格、中森が演じた月島カンナは、愛人の子として生まれ、暴走族にもなったが、その後、ミュージカル女優を目指すという全く異なるキャラクターのダブル主演で、米米CLUBが歌った主題歌『君がいるだけで』も印象的だった。
「女性同士の友情が本当に素敵で、中絶を経験し、自分の殻に閉じこもるようになった優美子が、自分とは全く異なるタイプで口が悪く、乱暴で、でもとびきり優しいカンナのおかげで心を開いて新しい自分に生まれ変わっていくところが感動を呼びました。数少ない女性コンビのなかでは、この2人がベストコンビだと思います」
同居しながら深い友情で結ばれていく2人だが、やがて悲しい別れを迎える。最終回の視聴率は31.9%を記録した伝説のドラマなので、まだ観ていない方はぜひ。そして田幸氏はもう一組、女性コンビを推薦する。