音声SNS「Clubhouse」(クラブハウス)が流行している。日本向けのサービスは1月下旬に始まったばかりで、まだAndroid版はなくiOS版しかないものの、芸能人や文化人、インフルエンサーも多く参加しており、それをきっかけにテレビの情報番組でも取り上げられるなど大きな注目を集めている。他の多くのSNSと同様、無料サービスなのだが、一部で金銭が介在するやりとりが発生するなど、ユーザーたちの間で不穏な気配がちらほら見える。SNSの利用実態とトラブルに詳しいITジャーナリストの高橋暁子さんが、Clubhouseの利用実態とリスクについて解説する。
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秘密のラジオ番組を聞いたり、作ったりしているようだという感想が参加者から聞こえてくる実名制の音声SNS「Clubhouse」に参加するには、電話番号を利用した招待をされる必要がある。
この招待制度だが、当初は1ユーザーにつき2名までしか招待できないなどの限定性がプレミア感を増幅させ、非ユーザーたちの使いたい気持ちを刺激した。こういった純粋に特別な空間への憧れから興味を持つ人だけでなく、インフルエンサーとなって先行者利益を得ることを狙った層もいっせいに参加を始めたところだ。今まさにClubhouseはバブル状態となっているのだ。
「見知らぬ相手から購入」で個人情報悪用も
Clubhouseは炎上の心配がないSNSだと言われている。それは何よりも、ユーザーが匿名ではないこと、身元保証のようなものがあることが要因だ。プロフィールに誰が招待して加わったのか、何月何日から参加しているのかが必ず表示される。この招待者と紐付けられていることが身元保証のような効果をあげており、登録ユーザーへの信頼性を高めている。
さらに、音声チャットが交わされる場所、トークルームでの会話が穏やかに交わされるだけで進行することも炎上と無縁だと言われる理由だろう。ルームを主催する人にスピーカー、つまり話し相手として呼ばれれば誰でも直接、話してトークに加わることができるが、逆に言えばスピーカーに呼ばれない限りコメントもできないので、そのルームは荒れにくいようになっている。
ここまで穏やかに運営されているClubhouseの特徴ばかりあげた。しかし問題が起きないわけではなく、始まったばかりのSNSサービスらしく、むしろ色々なトラブルが起きている。
フリマアプリのメルカリでは、サービスや権利など実体がないものの売買が禁止されており、現在は削除対象となっている。ところが、Clubhouseの招待枠が1万円前後で販売されていた。既に販売済みとなっていた出品も複数あったが、言うまでもなくこれは非常にリスクが高い行為だ。前述のようにClubhouseへの招待は電話番号を紐付けさせねばならないため、信用できるかどうか分からない人に電話番号を渡すことになる。その後、悪用される怖れは決して小さくない。