男女を問わず、中年になると気になるのがお腹周りだ。40代のときにはいていたデニムパンツがはけなくなったという51才の廣井彩香さん(仮名)は、今年、本気のダイエットを志したという。
「朝はコーヒーだけ、昼はコンビニで買ったサラダとインスタントみそ汁、夜は野菜たっぷりのスープを食べています。30代のとき、同じダイエットでやせたことがあるんです。お腹は空きますが、いまやらないと、二度と元の体形に戻れない気がするので、がんばります」
廣井さんの決心は固いが、管理栄養士の望月理恵子さんは「やめた方がいい」と警鐘を鳴らす。
「確かに50才以降は、いままでと同じ食事をしているだけで太りやすく、メタボの危険が高まります。しかし、若い頃と比べ、50才以降は全身の筋肉量が急激に低下する。ベジタリアンダイエットや、急に食事量を減らすダイエットをしていると、筋肉のもととなるたんぱく質が不足し、ますます体がたるみます」(望月さん・以下同)
なかでも、脚の筋肉は衰えが早い。将来、歩けなくなるリスクを回避するためにも、1日50gのたんぱく質摂取を心がけるとともに、ウオーキングを組み合わせたい。「やせ信仰」が強い日本人の女性は、高齢になってもダイエットを意識する人がいるが、健康に長生きしたいなら、その考えは捨てた方がいい。
「70才以上のダイエットは低栄養からくる老化促進、寝たきりのリスクを高めます。特に75才以上の後期高齢者は、肥満度を示す『BMI値』が低いと、認知症リスクが高まる。70才以降は、多少太っていても『やせる』より『現状維持』が目標です」
美しくいたいと望むのは女の本能。しかし、健康を犠牲にしては元も子もない。
※女性セブン2021年2月18・25日号