コロナ禍で食生活がガラリと変わり、外食も家庭料理もコロナ前とはずいぶん違うという人は多いだろう。その影響もあってか、「ギョーザ戦線異状あり」だ。毎年公表されるギョーザ消費の自治体ランキングで、昨年は浜松市(静岡)が宿命のライバルである宇都宮市(栃木)を抜いて首位に返り咲いただけでなく、3位には宮崎市が食い込んだ。平均消費額はトップ3がわずか96円差のなかにひしめくという激戦だった。
宮崎市は年間購入頻度では断トツのトップ。ということは、購入額で浜松、宇都宮の後塵を拝しているのは単価が安いからだが、もし相場が同じなら結果は違ったはずで、「隠れ1位」と言っても過言ではない。そのわりに「ギョーザの街」としてはトップ2とは知名度に差がある印象の宮崎は、今回の結果をどう受け止めているのか。宮崎市ぎょうざ協議会の渡辺愛香・会長に聞いた。
「浜松や宇都宮ではギョーザが観光資源としてしっかり根付いておられますが、それに比べると宮崎ギョーザは全国的な知名度はまだ高くありません。どちらかというと観光資源というより家庭で消費されるもの、自分たちの家で焼いて食べるものというイメージです。
ギョーザはもともと満州帰りの方が戦後に国内で広めたとされていて、宮崎では黒兵衛さんという老舗の創業者の方が作り方を伝授し、そのお弟子さんたちが県内で普及させたと言われています」
実は昨年上半期には、宮崎が購入頻度も購入額もトップだった。同協議会はその結果を受けて昨年9月に急遽、設立されたという。それだけに、下半期に王者2市に抜き返されて年間3位という結果は悔しいところだろう。三つ巴元年に王者となった浜松も、さすがに宮崎の存在は意識しているようだ。浜松餃子学会の花枝一則氏(広報担当)はこう語る。
「いつも“順位は関係ない”と言ってはいますが、1位になると正直うれしいですね(笑)。ぜひ今年も市民の皆様にはギョーザを食べまくってもらって連覇を果たしたいと思います。
例年は宇都宮との一騎打ちですが、昨年は宮崎が躍進してくれまして、年末までどこが1位になってもおかしくない三つ巴でした。実は10月時点では浜松は3位だったので、このままかなと残念に思っていましたが、最後にマクるかたちでトップになれました。
実はまだ宮崎のギョーザを食べたことがなくて、非常に気になっています。すぐにでも食べに行きたいところですが、コロナ禍ですからね。まずはお取り寄せでライバルの味を確かめたいと思います。よきライバルが現れたので、また全国でギョーザを盛り上げていきたいと思っています」