コロナ禍で医療や介護の現場で実習訓練ができないなど、様々な問題が出ている。国民を守る仕事にも支障が生じた。
これまで乗員の感染で護衛艦の海外派遣が遅れたり、海上自衛隊トップの感染が発覚した自衛隊では、第3波で隊員の感染者が増加。2度目の緊急事態宣言で首都圏1都3県での訓練が中止に追い込まれた。
より懸念されるのは警察で、昨年3月以降、武術訓練を一部中止するケースが相次いでいる。
「短時間での逮捕術や間合い確保などの訓練なら多少行なえるが、本チャン武道(柔剣道)はほとんどできていない。最近は『安定の公務員志望』で警官になる若者が多いが、武道ができないと精神面が鍛えられず心配だ」(警視庁関係者)
警察官を育成する「警察学校」も難局に直面している。全寮制ゆえに、感染リスクによって授業が立ちゆかなくなることがある。愛知県警の警察学校では、年明けにクラスターが発生し、授業が中止に追い込まれた。
首都圏のある県警関係者もこう危惧する。
「警察学校では柔道の授業ができず、学生が基礎の受け身を習得できない。犯人と1対1で争う時に受け身が取れないと、相手に力負けして受傷事故が増える。警察幹部は、若手警官の怪我が増えることを危惧しています。もちろん、将来的には実際の事件捜査への影響も心配だ」
コロナが奪った「現場実習」の本当の影響が出てくるのはこれからだ。
※週刊ポスト2021年2月19日号