音声でやり取りするSNS(交流サイト)として話題沸騰の「クラブハウス」。アメリカで生まれたこのSNSは日本だけでなく世界各国でユーザーが増えているが、そんななか中国で2月8日、突如としてクラブハウスが利用できなくなる事態が発生した。
中国のネット事情に詳しいジャーナリストの西谷格氏が解説する。
「クラブハウスなら中国本土の人たちと台湾や香港の人たちもやり取りできるということで、チベットや新疆ウイグルなど政治的に敏感なトピックも含めて自由に議論していたようです。『ウイグルには収容キャンプがあるのか』というルーム(トピックごとの部屋)には5000人もが参加し、12時間にも及ぶ議論が交わされたそうです」
中にはこんな悪ノリも。習近平という名前のアカウントが作られて、プロフィール欄には天安門、文化大革命、台湾、チベット、ウイグルなどの言葉が並んでいたという。
「本気の議論でも悪ふざけでも、政治的にデリケートなトピックが拡散しやすいことを危険視した中国政府が、ただちに規制に動いたのではないでしょうか」(同前)
中国人がクラブハウスの楽しみに触れることはもうないのか。
「今後の注目は、中国ならば中国版クラブハウスを作るはずだということです。中国ではかつてもツイッターが同じ理由で規制され、代わりに中国版ツイッターの『微博(ウェイボー)』が広まりました。微博は政治的にデリケートな投稿は、すぐに削除される仕組みになっています。中国版クラブハウスも、ウイグルのルームなどは絶対に作れないようになるでしょう」(同前)
かの国で自由な議論は、かくも難しい。
※週刊ポスト2021年2月26日・3月5日号