晩婚化と少子化が進み、若者の“恋愛離れ”も進んでいる──そんなイメージを持つ人も多いだろう。しかし、最近はマッチングアプリを活用して、“効率的”に出会うケースや、コロナ禍によって“オンラインお見合い”も増加し、若者たちは新しい形での恋愛を楽しんでいるという。
では、これから先、若者たちの恋の行方はどうなるのか。東京大学大学院客員研究員で医師・疫学者の上田ピーターさんはこう言う。
「日本では、まだ結婚後に家事や育児の担い手になるのは女性が多い。そのため、結婚相手に安定した雇用や収入を求めざるを得ない。現実として、日本の男性は収入が低い人ほど、未婚かつ異性と交際もしていない可能性が高く、恋愛に積極的になりにくい。
この先はオンラインでの出会いも浸透していくと考えられますが、コロナで格差が広がれば、恋愛市場の格差もますます広がっていくでしょう」
恋愛・婚活研究家で結婚相談所マリーミー代表の植草美幸さんによれば、現在、恋愛から結婚にいたるまでの平均期間は4~5年。
20代ならいざ知らず、コロナ禍で早く結婚したいと願う30代以上にとって、それほどの長い時間を待つのは苦しいものがある。
「これから先は、『結婚してから恋愛する』という人が多くなると考えられます。もちろん、いまの若者にも“愛する人と結婚したい”という思いはあります。しかし、それが通用するのは20代まで。いまは男女とも30代になるとキャリアを築く必要があり、恋愛に時間をかけられません。いつ収入が不安定になるかわからないいま、とにかく条件の合う人と、手っ取り早く結婚するケースが増えるでしょう」
そんなご時世だからこそ、オンライン頼みがますます強まりそうだ。この傾向を、若者の恋愛事情に詳しいライターのトイアンナさんは、望まない妊娠が増えるのではないかと問題視する。
「恋活・婚活市場に遊び人が増えることで、遊びに乗る人も、それに引っかかる人も増えることが唯一の心配です。その一方で、本気で結婚を望む人同士が出会えば、結婚までは早いでしょう。女性もこれまでのように待つばかりではなく、オンラインで積極的にアプローチできるうえ、スペック重視なら話が早い。“動くならいま”なんです」
オンラインで出会い、恋愛をすっ飛ばした「超効率婚」が、次世代のトレンド。
自宅でスマホをいじってばかりの娘も、親の心配をよそに、実は将来のために玉の輿を狙っている真っ最中なのかもしれない。
※女性セブン2021年2月18日・25日号