ネット依存に警鐘を鳴らす『スマホ脳』(新潮新書)が22万部超のベストセラーになっている。しかし我々がそれ以上に毒されてはいけないのが、“森喜朗氏のような言動”に自らを走らせてしまう《森喜(モリキ)脳》だ。自分では「森さんみたいなことは絶対しない」と思っていても、実は周囲から顰蹙を買っていることは多いのである。白い目で見られる程度では済まず、破滅に追い込まれることも──。
自分も気づかないうちに《モリキ脳》になっているかもしれない──。精神科医・片田珠美氏が監修した以下の失言危険度をジャッジするチェックリストで、当てはまる項目が5個以上の場合は要注意だ。
□他人の経歴や家庭環境を詳しく知りたくなる
□年賀状など折々の挨拶がないのは失礼だと感じてしまう
□「自分の若い頃は……」と部下や家族に話すことが多い
□「あなたのために言っているんだから」と友人や親戚を諭すことがある
□家にいるよりも職場の人間や仲間と話しているほうが居心地がいい
□なじみの店で「いつもの」とオーダーしてしまう
□有名人の考えにすぐに同調してしまう
□責任ある仕事は若手に任せられないと感じることが多い
□店へのクレームで「責任者を出せ!」と言ったことがある
□列に並ぶのが嫌で、スーパーのレジへ小走りをしてしまう
「過去の成功体験にこだわりすぎたり、周囲からどう見えるかという客観的な視点が欠如したりしていることが無神経な発言を生む大きな原因です。チェックリストに当てはまる人は、知らず知らずのうちに“自分本位”となっている傾向が強いといえます」(片田氏)
老人のコミュニケーション不全を分析した『暴走老人!』の著者・藤原智美氏は、「聞き役に回る意識が大切」とアドバイスする。
「若い部下の立場では、“この人はどういう人で何をやらせようとしているのか”と観察しますが、上司になると周りを見るよりも“とにかく自分の力を見せて相手を従わせる”ほうが楽になり、周囲を観察する力がどんどん衰えていきます。
集まりなどに出た際は、自分の言いたいことを話すのではなく、とにかく聞き役に回ることを意識する。そうすることで、自分が周囲にどう見られているか、求められていることがわかるようになるので失態を防げるようになります」
舌禍を招いたことで最終的に辞任に追いこまれてしまった森氏。“本家”の放言・暴言を、あなたは笑っていられるだろうか。
イラスト/友利琢也
※週刊ポスト2021年2月26日・3月5日号