吉沢亮が「日本資本主義の父」と称される渋沢栄一を演じるNHK大河ドラマ『青天を衝け』が2月14日にスタートした。1963年に大河ドラマが始まって以来、今作は60作目となる。この60作の歴史を振り返ると、数多くの名優たちが素晴らしい演技を見せてきた。
そこで週刊ポストは、視聴者にとって「史上最高の大河ドラマ俳優」は誰なのか、読者1000人にアンケートを実施。1位は『独眼竜政宗』(1987年)で伊達政宗を演じた渡辺謙だった。そして、続く2位に選ばれたのが『龍馬伝』(2010年)の福山雅治だ。コラムニストのペリー荻野氏が語る。
「“今さら感”のあった龍馬を二枚目の福山さんが演じることで毛色が変わり、失敗ばかりだけど皆に愛される龍馬を見事に演じました。女性ファンの多い福山さんが週刊ポストの人気投票で2位になるほど男性ファンの心を掴んだことも驚きです」
18歳の頃から龍馬を愛し続け、同作では勝海舟を演じた武田鉄矢は「福山龍馬」を絶賛する。
「福山くんはシルエットが抜群で、本当にハンサムな龍馬でした。龍馬はワイルドなイメージがあるけど、本当はすごく柔らかい面のあるフェミニストです。吉田松陰、高杉晋作、新選組など、狂気を帯びた面々が集う幕末において、龍馬だけが持っていた静けさを、クールな福山くんが巧みに表現していました」
敬愛する龍馬との「共演」は百戦錬磨の武田でも心躍る経験だった。
「福山くん演じる龍馬から『先生』と呼ばれるだけで、嬉しくて涙が出そうでした。でもあまり接する機会が多いと僕の龍馬像に毒されてしまうから、彼は途中から遠ざかっていった(苦笑)。市井の龍馬研究者がたくさんいるなかで、福山くんは彼なりの龍馬をストイックに追求していましたね」
武田が今でも忘れられないのは、勝と龍馬がオランダ製の咸臨丸に乗船する場面だ。
「黒船の舳先に立ち“ひとりタイタニック”状態で海を見渡す龍馬を上空のカメラから撮影しました。龍馬と言えばお決まりの名シーンだけど、どうしても自分が舳先に立ちたくて『俺がやりてぇー!』と思いながら見ていた(笑い)。羨ましくなるくらいかっこいいシーンでしたね」
※週刊ポスト2021年2月26日・3月5日号