誰もが夢見るものの、なかなか現実にならない“夢の馬券生活”。競馬を題材とした作品も手掛け、「JRA重賞年鑑」にも毎年執筆する作家・須藤靖貴氏が、逃げ馬にかけ続け、叫び続けた2日間と、その回収率についてお届けする。
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逃げ馬が勝つ条件は3つ、という話。【1】人気薄でノーマーク【2】単騎逃げが叶って(内枠がベター)スローペースとなる【3】トップ騎手が人気馬(差し馬)に騎乗。3つめが愉快だ。有力馬が牽制し合うのを尻目に逃げ切っちゃうのだった。
ある土日、逃げ馬有利になりそうなレースを精査すると、これが難儀した。逃げ馬が人気の場合も多いし、有力先行馬にトップ騎手が跨るケースも当然ある。人気薄で単騎逃げ濃厚という点だけでも、そうは見つからないのだった。
人気薄を5番人気程度までとハードルを下げ、全72レース中になんとか10。パドック凝視のうえ、スタコラサッサの逃げ、そしてガッツの粘りに期待して複勝とワイドで勝負!
1月30日(土)東京9Rの銀蹄S。横山武騎乗の(16)ピンシャンが大外枠からポンと出て単騎の逃げ。スローペースに持ち込んだ。1番人気の(7)タガノビューティーに差されたものの2着。よくぞ粘った! 複勝440円、ワイド(7)(16)で920円。ここからの参戦、幸先良いスタートである。
次の10R、クロッカスSは北村宏騎乗馬がラクにハナを切ったものの、直線で呑みこまれて8着(10頭立て)。メイン11R白富士Sでも武藤騎乗の馬がすんなりハナへ。残り2ハロンまでがんばったものの10着。ダメでも見せ場がある。精査の甲斐あってか、「逃げなかった」なんてガッカリだけはないわけだが……。
最も興奮したのが中京の瀬戸S。ダート1900メートルのハンデ戦。和田翼52キロ騎乗の9番人気。福永と武豊が人気の差し馬に乗る。ハナを取り切れなかったものの2番手に構え、直線では先頭に。福永の馬は伸びない。「そのまま!」と私はシャウトした。念が通じたか粘りに粘って3着確保かと胸をなでおろした瞬間、外から一頭突っ込んできた! 差されてクビ差の4着。12Rでも池添がうまく逃げたが、序盤に競り合ったせいか残り2ハロンで失速。土曜競馬は1勝4敗だった。