2007年、米アップル社が『iPhone』を発売してから14年が経ったいま、何よりも触れる回数が多いかもしれない存在がスマホだ。しかし、そのスマホが心と体を蝕もうと牙をむき始めている──。
スウェーデン出身の精神科医・アンデシュ・ハンセン氏の著書『スマホ脳』(新潮新書)では、スマホをなどのデジタル端末がもたらす人体への影響について言及。世界13か国で翻訳され、大ベストセラーになっている。
つねにスマホばかりを触ってしまう「スマホ依存」が、脳へ悪影響を与える可能性があるといわれているが、さらに近年、強く指摘されているのがスマホとうつの関連性だ。
米ニューヨーク州のビンガムトン大学の研究者が大学生を対象とした研究によれば、日常生活においてスマホを「のめり込んで使用」あるいは「依存症」のレベルで使用している学生には、抑うつ傾向がみられたという。同様の研究結果はオーストラリアや中国でも確認されている。
また、うつ病とともに懸念される身体的不調は、デバイスが発するブルーライトと肥満の関連性だ。ブルーライトの光には空腹ホルモンであるグレリンの量を増やす特殊な働きがあり、食欲を増進させて体に脂肪をためやすくする働きがある。これは、慶應義塾大学をはじめとして国内外の複数の研究チームが指摘している。
認知症の専門医で「もの忘れ外来」を開設する奥村歩さんはスマホに伴う肥満は、「依存症の連鎖」も一因だと解説する。
「例えば、いきなり覚せい剤依存症を発症する人はあまりおらず、まずはアルコールに依存し、次に大麻、そして覚せい剤に手を出して依存する。同様にスマホに依存する人が徐々に甘いものへの欲求を抑えられなくなり、それがエスカレートして、肥満を併発するケースは散見されます」(奥村さん)
※女性セブン2021年3月4日号