女性蔑視発言で辞任した森喜朗氏(83才)の後任として、東京五輪組織委員会の会長の座についた橋本聖子氏(56才)。“名は体を表す”とは、まさに彼女のためにある言葉だ。1964年、東京五輪開幕の5日前に生まれた彼女は、国立競技場で燃えさかる聖火に感動した父によって、「聖子」と名付けられた。
《オリンピックに出るために生まれたんだぞ》
3才からスケートを始め、父にそう言われ続けて育った彼女は1984年、サラエボ五輪にスピードスケート選手として出場。その後、冬季五輪に3回、自転車選手として夏季五輪に3回出場。1992年のアルベールビル五輪では日本女子初の冬季五輪銅メダルを獲得した。
日本人で史上初めて夏・冬両方の五輪に出場した選手であり、通算7回の五輪出場はいまも日本女子の最多記録として燦然と輝く“五輪の申し子”。森氏が辞任した後、《女性》《五輪関係者》を条件に挙げる声に押される形で新会長候補に急浮上したが、候補者検討委員会からの打診に対し、当初は後ろ向きな姿勢を見せていた。
「その理由の1つは、2014年、ソチ五輪の選手村でフィギュアスケートの高橋大輔選手(34才)にキスを強要したとされる、セクハラ問題が蒸し返されることへの懸念でした。さらには、酒好きでも有名なかたで、周囲に酒を強要する“酒ハラ”も問題視されているから、別のスキャンダルが出ることを恐れたとも。
案の定、橋本さんの就任が決まった後、セクハラキス問題は国内に留まらず海外メディアでも大きく報じられ、橋本さんは会見で謝罪する事態になりましたからね」(JOC関係者)
それでも最終的に会長を引き受けたのには、理由があるとみるのは都政関係者。
「橋本さんが務めていた五輪担当大臣より、組織委の会長の方がはるかに格上だからです。オリンピックの開会式では、担当相も小池百合子都知事もスピーチできない。まず組織委会長がスピーチし、その後、バッハIOC会長、最後に天皇陛下となる。五輪に人生を捧げてきた橋本さんにとって、この上なく栄誉なことだと思います」
選手としてではなく、会長としても五輪の聖火をともすことができるのか。いまこそ「聖子」の名に相応しい活躍が期待されている。
※女性セブン2021年3月11日号