スマホから警報音が流れた直後の大きな横揺れ。テレビをつけると、「若干の海面変動があっても、津波被害の心配はありません」というテロップが流れていた──。
2月13日に福島県沖で発生した地震は、東日本大震災(M9.0)の余震とみられる。東北沖を震源とする最大震度6強の地震は、約10年ぶりだった。
揺れに緊張が走るのと同時に、改めて地震や津波情報の速さと精度の高さを実感した人も多いだろう。国内だけでなく中国のニュース番組でも、日本の地震検知システムの仕組みについて特集されたほどだった。
「津波が発生しないと判断できたのはEPOSという地震活動等総合監視システムの成果です」
そう解説するのは気象庁地震課だ。地震や津波の発生時に、震源や規模、津波の有無、波の高さなどを解析するのが気象庁のEPOSで、日本各地から津波や地震の観測データを集めて、リアルタイムで解析する。2007年から運用が開始され、継続的にアップデートされているという。
「地震の規模や震源位置の推定機能を持つ多機能型の地震計や、震度を計測する震度計、津波の観測機器などが全国に1000地点ほど設置されています。加えて、自治体や防災科学技術研究所などが設けた5000地点を超える観測施設からも、地震や津波のデータが24時間365日休まずにEPOSに送られ、蓄積されていきます」(地震課)
日本全国に、地震・津波の監視網が構築されているのだ。
2月13日の地震で、「津波の心配なし」とテレビで速報が流れたのは、地震発生からわずか3分後だった。この津波警報の「速さ」も、東日本大震災以降、さらに進化している。
「地震の発生から津波速報を出すまでに、1990年代は『5分』を目標としていました。1994年からは津波・地震早期検知網を全国的に整備し、1999年から3分程度で速報を出せるようになりました。その時から『量的津波予報』を始めました。津波がどれくらいの大きさになるのか数値的に発表するシステムです」(同前)