ビジネス

森永卓郎「株価バブルは3~5月に崩壊する。きっかけは……」

庶民には30年ぶりの株高という実感はない(時事)

庶民には30年ぶりの株高という実感はない(時事)

 日経平均株価が3万円を超え、失態続きの菅義偉・首相はそこにすがるように、「3万円は目標の目標のまた目標だった。感慨深い」(2月17日の国会答弁)と胸を張った。昨年のGDPはマイナス4.8%という大幅な落ち込み、個人消費も5.9%減という真っ暗闇の経済状況で、こんな奇妙な光景が繰り広げられている。『週刊ポスト』(2月26日発売号)では、この株高がどのような仕組みで演出され、誰が儲けているかを詳しく分析しているが、簡単に言えば日銀のカネと年金資金が湯水のごとくつぎ込まれ、それに乗じて儲けようとする海外ヘッジファンドが吊り上げているのが実態で、いつ暴落してもおかしくない「令和のバブル相場」だというわけだ。

 バブルであろうとなかろうと、株を買う投資家がいる限りは株価は下がらない。では、いつ、どういうきっかけでバブルが崩壊するのかが国民の知りたいところだ。生涯をバブル研究に費やした経済学者、ジョン・ケネス・ガルブレイスは、「バブルがいつ弾けるのかを正確に予測することは誰にもできない。ただし、すべてのバブルは必ず崩壊する」と結論づけている。それほどにバブル崩壊を予測することは難しいのだが、何もヒントがないわけではない。経済アナリストの森永卓郎氏は、「この春にも崩壊する」と分析している。

 * * *
 人類はこれまでに100回近く大きなバブルを経験しています。17世紀のオランダで起きたのが最初とされますが、すべてのメカニズムは共通しています。誰かがある資産を買い、それが値上がりして利益を得ると、周囲の人たちが「アイツ、いいなあ」と真似するようになって価格がさらに上がる。それが世間に知られてくると、「乗らなきゃ損」という空気になって新たな投資家がどんどん増えてバブルが拡大していく。そして、やがて実体とかけ離れた資産価格が作られるのです。

 今回の株バブルは、1980年代のバブルより危険だと思います。先日、アメリカの自動車メーカー「テスラ」がビットコインを15億ドル(約1600億円)購入したというニュースがありました。これが今回のバブルを象徴しています。そもそもテスラ社の時価総額は、トヨタ、GMなど世界の自動車大手6社の合計よりはるかに大きくなっているのですが、生産台数を見ればトヨタの19分の1程度しかない。なぜ同社の株がそんなに値上がりしているかというと、「これからは電気自動車の時代だ。電気自動車といえばテスラだ」という単純な発想で投機的に買われたからです。でも、電気自動車はトヨタなど他のメーカーも作っています。テスラが市場を独占することなどあり得ないのだから、すでに同社の株価が実体とかけ離れていると見るべきです。

いまや世界有数の富豪になったテスラ創業者のイーロン・マスク氏(時事)

いまや世界有数の富豪になったテスラ創業者のイーロン・マスク氏(時事)

 そして、同社は株価が上がって資金が潤沢になり、ビットコインに投資した。この投資先にも実体がありません。通常なら、株にはその会社の資産という裏付けがあり、紙きれのように見える日銀券(現金)にも日銀の資産という裏付けが一応はある。しかし、ビットコインにはそうしたものは何もありません。テスラが買ったという情報だけで価格が暴騰し、もう鉄火場のような騒ぎです。これは、これまで人類が経験してきたバブル崩壊前夜の光景そのものです。

関連記事

トピックス

格闘技イベント『BreakingDown』の会場に行った川口さん(本人Xより)
《“男性の体臭発言”で炎上》川口ゆりを司会に…イベント主催者が明かす「起用の経緯」と「参加者からの反応」
NEWSポストセブン
宮田笙子(時事通信フォト)
《喫煙・飲酒でパリ五輪辞退》体操女子の宮田笙子選手、400年の歴史誇る寺院の母親が明かした現在「まだ実家にも帰ってきていません」
NEWSポストセブン
12月中旬に小倉智昭さんの葬儀が営まれた
《本は数万冊、CDやDVDは約2万枚》小倉智昭さん、叶わなかった妻の願い「コレクションを眺めながらお別れの時間を」
女性セブン
M-1での復帰は見送りとなった松本(時事通信フォト)
《ダウンタウン松本人志の現在》“幼なじみ”と模索する地上波復帰…浮上した意外な「番組」
NEWSポストセブン
内田容疑者は北海道留萌市の高校生・村山月さん(17)を殺害した疑いがもたれている
【旭川女子高生殺害】駅裏で売春のために立っていた少女たちは今…内田梨瑚被告(22)の逮捕で変わった繁華街「サンロク街」の現在、警察が本腰入れるもキッズたちはSNS使って“買う男”探し
NEWSポストセブン
送検時の平原容疑者(左、共同通信)。右は高校時代の平原容疑者
「被害者と同じ歳くらいの娘がいたと聞いている」平原政徳容疑者に「数か月前に離婚した」証言も…謎が深まる“犯行動機” 【北九州・女子中学生刺殺】
NEWSポストセブン
私的な外出が増加している紀子さま(2023年、ベトナム・ハノイ。写真/時事通信フォト)
《悠仁さま、推薦で筑波大学に合格》大学決定の過程で“蚊帳の外”だった紀子さまに起きた変化、私的な外出が増加
女性セブン
「結婚式はホテルオークラ。列席者には政財界の大物からヤクザまでいた」(力道山の妻だった田中敬子さん)
【生誕100周年・力道山】「力道山未亡人」が明かす英雄の素顔 「最終的には政治家になって朝鮮統一を成し遂げようと考えていました」
週刊ポスト
無罪判決となった須藤早貴被告
《紀州のドンファン・13億円の遺産》「私に渡したいって…」元妻・須藤早貴被告が無罪判決で勝ち取る「13億円遺産相続」のゆくえ 野崎さんきょうだいら・田辺市との“3すくみバトル”
NEWSポストセブン
平原容疑者の高校生時代。優しい性格だったという
【北九州・女子中学生刺殺】「まさかあいつが…」平原政徳(43)の高校クラスメイトが語った素顔「バスケ部で、喧嘩を止めるタイプだった」優しい男が凶悪犯に変貌した理由
NEWSポストセブン
民事裁判は今年11月26日、新井氏に165万円の支払いを命じた判決が確定している
【今度は「胸と太ももを触られた」と主張】群馬・草津町長からの“性被害でっちあげ”の罪に問われた新井祥子・元町議 初公判で主張した“わいせつ行為”の内容の不可解な変遷
NEWSポストセブン
送検時の平原容疑者(共同通信)
「大声出して何が悪いんだ!」平原政徳容疑者(43・無職)、事件3日前に「大量のカップ酒」空き瓶が…ゴミ収集車が行った後に 近隣住民が感じた恐怖【北九州・女子中学生刺殺】
NEWSポストセブン