コロナ禍で新築マンションの販売は停滞しているが、経済活動の再開に伴って再び活発になりそうなのが、売り主の営業活動だ。よくデベロッパーのHPや広告チラシでは派手な物件情報が掲載されるが、必ずしも購入希望者が知りたい情報ばかりとは限らない。住宅ジャーナリストの榊淳司氏が、マンション広告の裏側を明かす。
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世の中で売り買いされるモノのなかで、不動産はもっとも高額な部類に入る。多くの人が購入するマンションも、いうなれば「高額商品」の一種である。価格が高額であるだけに、説明すべき事項も多い。
新築マンションなら、ほぼすべての物件で売り主がオフィシャルページを制作して一般に公開している。あるいはチラシを制作して、郵便ポストに投函したり新聞に折り込むことで消費者へ商品情報を届ける。
オフィシャルページやチラシを隅々まで読み込むと、そのマンションを購入するにあたり必要な情報がすべて得られるかというと、実はそうでもない。ただ、隅々までチェックすることで最低限の情報は得られる仕組みになっている。法的な規制で、表示しなければならない最低限の事項が決められているからだ。
しかし、そういった情報はマンションの広告をよほど見慣れた人間でないと見逃してしまいがちだ。特に売り主側が「見せたくない」と考えている情報は、見逃しやすいように表示してあるのが当たり前だからだ。
私は東京23区と川崎市、さいたま市浦和区で販売されるほぼすべての新築マンションの現地を調査し、オフィシャルページなどから得られる情報をベースにした「資産価値レポート」というものを制作し、ネット上で有料販売している。その関係で、これらのエリアで販売されているほぼすべての新築マンションのオフィシャルページを定期的にチェックしている。
この作業の中で、時には驚くべき事象を発見する。