大坂なおみが全豪オープン女子シングルス決勝(2月20日)を制し、2年ぶり2度目の優勝を果たした。4大大会制覇は2020年の全米オープンに続いて4度目。最新の世界ランキングは2位に浮上した。
圧倒的強さを見せた大坂だが、再びランキング1位に返り咲くには“難敵”が待ち構えている。
「大坂選手の4大大会制覇は全米と全豪だけで、いずれもハードコート。クレーコート(土)の全仏やグラスコート(天然芝)のウィンブルドンでは結果が振るわない。大坂選手の成績はコートに左右される部分があるんです」(スポーツ紙記者)
直近の4大大会を見ると、世界ランク1位で臨んだ全仏(2019年5月)は3回戦敗退、ウィンブルドン(同年7月)は1回戦で敗退している。
4大大会すべてに出場経験のある元プロテニス選手・神尾米氏が語る。
「大坂選手は足の裏でしっかり地面を踏んでボールに力を伝えるプレースタイルなので、ハードコートが一番戦いやすい。逆に凹凸のあるクレーコートや、滑りやすいグラスコートは足元がぐらつくので、パワーショットが打ちづらい。とくにクレーコートはサービスエースやリターンエースが減り、ラリーが続く持久戦を強いられる。大坂選手のようなタイプは苦戦する傾向がある」
経験値の差も大きいという。
「ハードコートを得意とする選手はハードコート中心の大会を回るので、1年間でクレーコートやグラスコートを回るのは全仏やウィンブルドンの時期(5~7月)だけ。攻略に費やす時間が圧倒的に足りない」(神尾氏)
土や芝を苦にしないランク1位のアシュレイ・バーティ(豪)を上回るには苦手を克服する必要がありそうだが、神尾氏はこう話す。
「あえてウィンブルドンや全仏は“重要視しない”というスタンスで、年間を通じてクレーコートの大会をスキップし、ハードコートのみに照準を絞る選手も中にはいます。ただ、私としてはグランドスラム(4大大会全制覇)を達成してほしい。粘り強さや小技が必要とされるコートを攻略できれば、十分に手が届くと思います」
得意なコートで勝利を重ねるか、苦手なコートでも勝利を目指すか──大坂の選択やいかに。
※週刊ポスト2021年3月12日号