ビジネス

1日6万円をもたらした「協力金バブル」の闇 商店街に軋轢発生も

飲食店へ酒類提供自粛を呼びかけた森田健作・千葉県知事の会見(時事通信フォト)

飲食店へ酒類提供自粛を呼びかけた森田健作・千葉県知事の会見(時事通信フォト)

 新型コロナウイルスによる二度目の緊急事態宣言で、営業時間短縮の要請に応じた飲食店への協力金「1日あたり6万円支給」は、ネットでは「協力金バブル」などと揶揄された。このバブルに、悪い意味で踊らされ、人間関係にまで影響が出ている。ライターの森鷹久氏が、本格的なアフターコロナを前に、協力金によって金銭的には救われたはずなのに不安でたまらない飲食店主の胸のうちを聞いた。

 * * *
 新型コロナウイルスの新規感染者手数は右肩下がり、2月からはワクチン接種も開始と、一年以上にも及ぶ「コロナ禍」にやっと収束の兆しが見えてきた。休日ともなれば観光地には人が溢れ、これを「緩み」だと指摘する声もあるものの、各国における株価の上昇も収束を見据えたものという見方が強く、世界中が「アフターコロナ」への期待に胸を膨らませていることは、間違いのないようにも思える。

 しかし、本当に「元の生活」に戻れるのか。そんな不安を抱く人は少なくない。

「この一年、まともに商売ができた、という感じがしない。今でこそ、仕事や生活への不安はないが、それが逆に怖い。アフターコロナは生活様式もガラリと変わり、一年後に自分が何をしているか、想像すらできない」

 千葉県北西部で居酒屋を営む横井和彦さん(仮名・40代)は、1月の中旬以降、全く仕事をしていない。コロナ感染が拡大し始めた昨年の3月下旬から客足は以前の半分以下に減った。一度目の緊急事態宣言では時短営業やランチ、弁当販売と県からの協力金でなんとか乗り切り、秋口には以前の7割程度に客足は戻ったものの、年末にかけ、再び激減。年が明けてすぐ2度目の緊急事態宣言となり、またもや時短営業を迫られた。

「二度目の時短営業は、1日あたり6万円のお金が出ますから、うちみたいな小さな店にとってはありがたいという他ない。通常は夕方4時から深夜2時までの営業で、売り上げは大体8万円くらいでしたからね」(横井さん)

 居酒屋にとってのコアタイムは「夜8時以降」である。仕事を終えたサラリーマンが街に繰り出し酒を飲み始めるのが夕方6時から7時頃。酔いが回って二軒目、三軒目に選ばれるのが、横井さんの店のような小規模居酒屋。8時以降の営業で、売り上げの8割を占めていたという横井さんの店は、1月以降、空けていても「無駄」どころか「マイナス」になる計算だった。

関連キーワード

関連記事

トピックス

天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン