認知症介護で要介護認定を受けた本人と家族を支える存在となるのが、具体的なケアプランを立案するケアマネジャー(ケアマネ)だ。しかし、人によっては介護現場に混乱をもたらしてしまうケースもある。『週刊ポストGOLD 認知症と向き合う』より、ケアマネ選びのポイントを紹介する。
80代の母親が骨折で入院したことをきっかけに日常生活に困難が生じるようになり、要介護認定を受けたという、50代女性のAさんが語る。
「早速、ケアマネの方と相談する機会があったのですが、もの忘れが多くなっているという話をちょっと聞いただけで“これはアルツハイマーでしょうね”と勝手に断定して、話を進めようとするんです。たしかに、もの忘れ外来には相談に行っている状態だったのですが、医師の先生からは“認知症の診断は難しいので、MRIやCTを見て判断する必要がある”と言われていたので、ケアマネの方の話の進め方には驚きました」(Aさん)
ケアマネ選びに際しては、自治体の介護保険課や地域包括支援センターで、ケアマネが所属する居宅介護支援事業所の一覧などを受け取り、利用者や家族が自ら探すのが一般的だ。
「介護を受ける上でケアマネとは様々な相談をすることになるので、本人と家族にとって、相性のいい人を探したい」
そう説明するのは、ケアタウン総合研究所所長の高室成幸氏。では、利用者や家族は、ケアマネ選びで何を注意するといいのか。
「認知症への理解が深い人を見極める上では、“決めつけない人”というのがポイントのひとつです。特にベテランの方に見られますが、『あなたはMCI(軽度認知障害)ですね』『あなたはアルツハイマー型ですね』と独断してしまう人がいます。専門医でも誤診することがあるほど認知症の症状は複雑です。一人ひとりと注意深く向き合える人が、いいケアマネだと言えます」(高室氏)
暴言や外出願望、物盗られ妄想といった認知症の周辺症状は人によって大きく異なり、その原因も環境要因などそれぞれに固有のものだ。
「『この人は戦時中にひもじい思いをしたからお金のことを心配するのでは』といったように、特有の原因を探ってくれるケアマネは頼りがいがある。さらに、“困りごと”ばかりに目を向けるのでなく、“できること”を探して本人や家族に前向きになってもらう努力をするのはいいケアマネだと思います」(高室氏)
ケアマネと相性が悪く、担当者を変えたいというケースも想定される。