コロナ禍での自粛などによる「ストレス」が注目されるが、ストレスの蓄積は、感染症以外にもこんな重大なリスクを上げることにつながるという。
医療経済ジャーナリストの室井一辰さんは、ストレスが「心」だけではなく「体」の病気も招く危険性を説く。
「急性心筋梗塞とよく似た症状が表れる『たこつぼ心筋症』という病気があります。冠動脈の血流には問題がないのに、心臓が突然動かなくなる病気で、ほとんどが女性に起こっている。ストレスが関係していると考えられ、突然死の原因と指摘される病気です。
突然死は、心臓が止まるか、脳が機能停止するか、呼吸困難になるか、全身に血栓ができるか、いずれかによります。見逃せない原因がストレスで、生活習慣の乱れや免疫力低下から動脈硬化の進行などにつながり、突然死のもとにもなるのです。ストレスをためないことが大切です」
誰しも突然死などしたくない。運動によって免疫力を高めようと、スポーツクラブに通う人も少なくないが、これも間違うとリスクとなる。新潟大学名誉教授で医師の岡田正彦さんはこう言う。
「運動の効果は朝でも夜でもあまり変わりませんが、会社勤めなど働いている人は時間帯に注意を払ってほしい。日中に強いストレスを感じたまま夜に激しい運動をすると、不整脈を引き起こしたり、心筋梗塞になるリスクが出てくる。交感神経が日中の仕事モードから夜の副交感神経に切り替わる時間帯は、体のバランスが崩れやすいからです。もし仕事が終わってから運動するならば、ストレッチをしっかりして、心をしっかりリラックスモードにさせてから行いましょう」
健康のために運動をしているのに、それによって病気を引き起こしてしまったら、本末転倒だ。トレーニングは体の特性をきちんと知った上で始めることだ。
横で寝ていたはずの家族が朝に冷たくなっていたとしたら、そのショックは計り知れない。「寝ていたから気づかなかった」では取り返しがつかないのだから──。
※女性セブン2021年3月11日号