もしも突然の大地震が発生し、車中で避難生活をしなければいけなくなったら、用意しておくべきものは、「靴用の滑り止め」と「懐中電灯」のどちらか──。
東日本大震災から10年を目前にした2月13日23時08分頃、再び激しい揺れが東北をはじめ、北海道や関東を襲った。この影響で、東京電力と東北電力の管内で計約95万戸が停電。立春を過ぎたとはいえ、北海道や日本海側、東北の山沿いなどでは依然激しく雪が降っている地域もある。寒さと暗闇の中、東日本大震災を思い出し、不安を募らせた人も多かっただろう。
この季節、寒さ以外の注意点として凍結による転倒事故があると、車中泊専門誌『カーネル』編集長の大橋保之さんは言う。
「駐車場所の地面が凍結していることに気がつかず、車から降りようと足をついた瞬間、滑ってけがをするというケースが意外と多いんです。特に注意したいのが、夜中や早朝にトイレに行くとき。避難所や公共施設の駐車場で車中泊した場合、トイレはそこに設置された仮設トイレを利用することになります。寝起きは警戒心が弱くなっているため、けがにつながりやすいんです」(大橋さん・以下同)
そこで用意しておきたいのが靴に装着する滑り止めだという。山歩きなどで使う金属製の爪がついたタイプではなく、布製のベルト式やチェーン式などの簡易的なもので充分だという。
懐中電灯もあれば役立つが、ヘッドライトの方が両手が自由になるうえ、転倒時に手がつけて安全だ。
また、災害時は仮設トイレの設置に時間がかかることが考えられるので、非常用トイレも用意しておこう。
もし車中泊避難中に雪が降ってきたらどうすべきか。実際、東日本大震災当日、宮城県気仙沼市などでは雪が降っていた。
「寒いからといって、エンジンをかけたままの就寝は絶対にしてはいけません。もし就寝中に雪が積もり、車のマフラーが埋もれてしまうと、排気ガスが車内に逆流して一酸化炭素中毒に陥る恐れがあり、最悪死に至ることも。また、それほど雪が積もっていなくても、風向きによっては、雪がマフラーをふさいでしまうこともあるので、油断は禁物です」
積雪対策として、軽くて組み立て式のスノースコップを積んでおき、適宜、雪かきをすることも想定しておこう。
取材・文/鳥居優美 イラスト/大窪史乃
※女性セブン2021年3月11日号