東京五輪組織委員会の新会長に就任した橋本聖子・参議院議員。五輪出場経験の豊富さゆえに適任だという声がある一方、ただのお飾りだという意見もある。
賛否の声は、「アスリート政治家」そのものへの評価とも重なる。
橋本氏をはじめ、プロレスの馳浩・元文科大臣、スピードスケートの堀井学・衆院議員、プロ野球の石井浩郎・参院議員など、自民党を中心に政界には多彩なアスリート政治家がいるが、彼らがアスリート時代の実績に比べて政界で活躍したとは言いがたい。
また、アスリート議員には、スキャンダルで話題を提供する人物が多い印象が強い。
橋本氏のセクハラ問題が蒸し返されているが、遡れば1995年にはアントニオ猪木氏が第一公設秘書や前幹事長らに、政治資金規正法違反や女性問題などを告発されており、“ヤワラちゃん”こと谷亮子氏も2015年の収支報告書に記載した人件費のほとんどが政治活動の実態のない父に給料として支払われていたことが発覚。政治資金規正法違反の疑惑が浮上した。
2020年4月には馳氏が虐待や性暴力の被害に遭った10代女性の支援団体を視察した際に、セクハラ行為があったと指摘され、謝罪している。
その背景を、橋本氏と同期当選の元参院議員、釜本邦茂氏が明かす。
「政治の世界はスポーツのようにみんなが一丸となって優勝を目指すとかじゃなく、隙あらば足を引っ張ってやろうという世界ですからね。もちろん、悪いことは叩かれても仕方ないが、特にアスリート議員は目立つから、騒ぎになりやすい。
橋本さんでなくても、重要なポストを引き受ければ、過去のスキャンダルが掘り出されますよ。今考えると、その辺りの認識が甘かったのかもしれないけどね。
いまだにアスリート議員とかいわれていますが、橋本さんはベストの選択だったと思いますよ。コロナ禍での五輪開催ではいろんな判断をするうえで政界とのパイプも必要です」
軽く見られてきたアスリート出身政治家の実力が試される局面だ。
※週刊ポスト2021年3月12日号