芸能

増加する「短めドラマ」 豪華キャストで見せる「ピリッと面白さ」

番組公式HPより

『ここは今から倫理です。』も30分ドラマ(番組公式HPより)

 ドラマといっても、1時間、2時間の枠だけではない。30分ものや、もっと短い放送時間のドラマが最近増えているのだ。どんなドラマがあるのか? そして、その特徴とは? コラムニストのペリー荻野さんが解説する。

 * * *
 今シーズンも「短めドラマ」が豊作だ。

『ここは今から倫理です。』(NHK)、『モコミ』『書けないッ!?』(テレビ朝日系)、『でっけぇ風呂場で待ってます』『FAKE MOTIONたったひとつの願い』(日本テレビ系)、『おじさまと猫』『サクセス荘3』『東京怪奇酒』『あなた犯人じゃありません』(テレビ東京系)、『ホリミヤ』(TBS系)、『シンデレラはオンライン中!』『30禁 それは30歳未満お断りの恋』(フジテレビ系)などなど30分枠に個性的な作品が揃った。

 先日、BSプレミアムで放送された『だれかに話したくなる山本周五郎日替わりドラマ』の放送は19時。一話完結式(4と5話は前後編)五本の中の一本『泥棒と若殿』は、つらい境遇の二人が支え合う話。同時期に歌舞伎座で尾上松禄と坂東巳之助で一時間を超える芝居として上演されていて、舞台を見て大泣きした私は同じ内容がドラマで30分に?と驚きつつ見て、また泣いたのであった。

 しかし、30分で驚いている場合ではないのである。昨年来より存在感を増しているのが、5分弱のミニドラマだ。

 話題になった『きょうの猫村さん』(テレビ東京系)は、猫の猫村さんが、飼い主の坊ちゃんとの再会のため、お金をためようと家政婦となり、奮闘する物語。買い物かごをさげた猫村さんが松重豊で、その巨大ぶりにびっくりしたが、うれしいと寝転んでゴロゴロしたりする姿は、面白かった。

 猫に続いて年末に出てきたのが、熊だ。『悲熊』(NHK)は、ジャニーズWESTの重岡大毅がもこもこの熊くんに。川でせっせと鮭を獲り、水産加工会社で働く熊くんは、ゴミを片付けていたら「熊がゴミあさり」と勘違いされて捕獲され、クリスマスのベルがクマ避けの鈴に聞こえてビビりまくり、なんでもない道でよく転ぶ。おまけに伝説の男・熊狩権三に始終、猟銃で狙われているのである。そんな熊くんの悲喜こもごもが10話で描かれた。

 そして、ギャラクシー賞受賞などで注目されたのが、『光秀のスマホ』。戦国時代、武将たちがスマホを持っていたら…光秀はエゴサしては、自分の人気の低さにがっくり。そこに「今川義元さん桶狭間で討たれる」速報が。これからは織田の時代だという書き込みを見た光秀は、過去に信長に「うちは、朝倉家より楽しいよ~」と誘いのメッセージが来たのに断ったことを後悔。なんとか挽回できないか、スマホに聞いてみる…。画面の中心はスマホのみ。光秀スマホ中毒。斬新なドラマだった。

 現在は、猫村さんの後に『ざんねんないきもの事典』が放送中。先日放送された第20話「ニワトリ」の回はいいアイデアを出したのに採用されず凹む新人社員(磯村優斗)に白髪キンキラ神様が「なんかさあ、ニワトリに似てるよね」と話しかける。ニワトリのざんねんぶりを聞いた新人が「俺はニワトリじゃない」と動き出すというストーリーだ。

 ミニドラマに共通しているのは、キャストが豪華なこと。猫村さんの共演には濱田岳、小雪らが登場、『悲熊』にも北村有起哉、黒島結菜、『光秀のスマホ』の光秀役は山田孝之、『ざんねんないきもの』の神様は竹中直人。数々のドラマの主役を務めた面々が、ミニドラマでピリッと面白さを見せる。くすっと笑わせる。偶然見れば、ちょっとうれしい。録画、配信ならまとめて楽しい。気持ちが沈むことも多い今日この頃、贅沢なミニドラマが気分転換に役立っていることは、間違いない。

関連キーワード

関連記事

トピックス

希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
NASAが発表したアルテミス計画の宇宙服のデザイン(写真=AP/AFLO)
《日本人が月に降り立つ日は間近》月面探査最前線、JAXA「SLIM」とNASA「アルテミス計画」で日本の存在感が増大 インドとの共同計画や一般企業の取り組みも
週刊ポスト
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト