花粉が気になるこの時期。朝起き抜けや、買い物から帰ってきたとたん、くしゃみを連発。鼻をかんでも、いつまでも通らない……そんなときにおすすめのヨガがある。JCHO東京新宿メディカルセンター耳鼻咽喉科診療部長でヨガインストラクターの資格を持つ石井正則さんによれば、ヨガで交感神経を刺激すれば、鼻づまりの症状を軽減できるのだ。
「自律神経は交感神経と副交感神経からなり、両者がうまくバランスを取ることで、私たちの体は健康を保っています。花粉症の症状の1つである鼻づまりは、副交感神経が過剰に働くことで起こります。ですから、交感神経を活性化することでバランスを取れば、鼻づまりを軽減できるのです」(石井さん・以下同)
交感神経を刺激するには、上半身の筋膜をほぐす動きが効果的だ。筋膜とは、筋肉を包んでいる薄い膜のこと。筋肉を動かさないでいると硬くなっていき、筋膜の裏側にあるリンパ液や血液の流れが滞ることで、交感神経が働きにくくなる。
「自粛生活の運動不足で、筋膜が硬くなっている人が増えています。運動したときに血流がよくなるのと同じ原理で、筋膜をほぐして血液やリンパ液の流れをよくし、交感神経を刺激します」
まず、背筋をまっすぐ伸ばしていすに腰掛ける。次に、背筋を伸ばしたまま、左腕が下になるようにして、両腕で自分自身を強く抱きしめる。
「できるだけ深く、きつく、両手のひじが重なるくらいまでぎゅっと自分自身を抱きしめるのがポイントです」
そのまま、下になっている腕の方(図では左腕)に向かって、限界まで体をねじる。このときも、背骨は床に対して垂直に伸ばしたままをキープ。ねじったら、その方向に向かって体を側屈する。ここからが本番だ。お腹に力を入れて引っ込めるようなイメージで、体を前傾させて額をひざに近づける。
「体を倒すのはかなりきついのですが、これによって肩甲骨が広がっていくのを感じるはずです。“これ以上倒せない”という限界まで前傾したら、ゆっくりと5回呼吸してください。息を吐くときにさらに額をひざに近づけるようなイメージです。5回呼吸し終わったら、ゆっくり息を吸いながら姿勢を戻しましょう。5呼吸で1分程度が目安です」