新型コロナウイルスの1日あたりの新規感染者数は一時期より減ったとはいえ、誰がいつ感染してもおかしくない状況がいまだ続いている。いまなお、手洗いや消毒、マスク装着など、感染予防対策が必要なのは言うまでもない。
しかし、きちんと予防していたにもかかわらず、発熱や倦怠感、嗅覚障害などのコロナ感染が疑われるような症状が出た場合、まずはどうしたらいいのか。昭和大学医学部内科学講座臨床感染症学部門客員教授の二木芳人さんは、こうアドバイスする。
「すぐに病院へ行くのではなく、まずはかかりつけ医に電話をし、相談してください。かかりつけ医がいない場合は、市区町村の担当部署へ。電話を受けた医師や担当者が感染の疑いがあると判断したら、適切な医療施設を紹介してくれます。あらかじめこういったやり取りがあると、来院後、優先して検査が受けられます」(二木さん・以下同)
いきなり病院に行くと、万が一感染していた場合、院内感染を発生させる恐れがある。緊急の場合を除いて、事前連絡なく医療機関を受診するのは絶対に避けてほしいと、二木さんは忠告する。
検査体制が不充分だった頃は、体温が37.5℃以上あるかなど、検査対象となる症状に細かい基準があった。しかしいまは、患者の話や様子から医師が必要だと診断すれば、各種検査が受けられるようになっている。この場合、検査費用は保険適用になるが、自己負担分も公費の適用になるので、検査料はかからない。ちなみに、検査を受けた人が陽性となった場合、同居する家族は濃厚接触者となり、症状に関係なく、自己負担なしで検査を受けられる。
検査は、かかりつけ病院に検査体制が整っているならその場で受けられ、そうでない場合は指定の検査機関などで受けることになる。
検査は3種類 精度の高さではPCR
新型コロナウイルス感染症を調べる検査にはPCR検査、抗原検査、抗体検査があるが、どの検査を受けたらいいのだろうか。
「病院なら、最も精度の高いPCR検査を行うことが多いです。どの検査を受けるかは医師が判断してくれます」
PCR検査はウイルスの遺伝子を調べるもので、専門の機器にかけるので、結果判定を出すのに数時間~1日程度かかる。検体は鼻咽頭や鼻腔から綿棒で採取したぬぐい液のほか、唾液でも可能だ。
唾液はある程度の量を出す必要があるため、検体の採取に時間がかかる場合もある。特に高齢者の場合、口腔内が乾いている人が多いので、大量の唾液を出すのは意外と大変なのだという。
「鼻咽頭ぬぐい液なら、専門家が行えばすぐに採取できるので、病院で検査を受けるときは鼻咽頭から検体を採ることが多いはずです」