“不要不急の緊急入院”ではないのか――コロナで病床逼迫が続くなか、政治家も官僚も、疑惑が燃え上がった途端に、“病床”に就いている。
接待問題の山田真貴子・前内閣広報官は3月1日午後の衆院予算委員会で2回目の参考人質疑が予定されていたが、前日に緊急入院。加藤勝信・官房長官は「体調不良で2週間程度の入院加療を要する」との診断を受けて本人から辞表が出され、1日午前の持ち回り閣議で辞任を了解したと説明した。コロナ対応と全く違う、官邸の“迅速すぎる対応”である。
その結果、参考人招致は見送られ、「7万円ステーキ接待」の真相解明は藪の中だ。
大臣在任中に大手鶏卵業者から大臣室で現金を受け取った鶏卵汚職の吉川貴盛・元農水相も昨年12月の疑惑発覚直後に緊急入院。「先週不整脈となり急遽その病院に入院。しばらく検査の上、治療に専念しなければならない」と事務所が議員辞職を発表した。東京地検特捜部は入院中ということで身柄拘束はせず、収賄罪で在宅起訴(1月15日)となった。
スキャンダルが発覚すると入院で国民から逃げ回るのは政治家や官僚の常套手段、いや、こんな時期に入院させてもらえるのは「特権」の一つだと言っていい。
入院の理由の多くが「不眠」や「不安」だ。吉川氏と同じく大臣室で業者から現金を受け取り、口利き疑惑で特捜部の捜査を受けた甘利明・元経済再生相は、辞任表明会見(2016年1月28日)の後、「睡眠障害で自宅療養が必要」との診断書を提出して4か月にわたって国会を欠席し続けた。
メディアは「医師の娘が勤務している病院に入院か」などと入院先を探し回ったが、不起訴後の同年8月1日に突然国会に現われると、晴れ晴れとした表情で「私の件は決着した」と言い放って国民を唖然とさせた。
同僚議員との“不倫路チュー写真”が報じられた中川郁子・元農水政務官は、辞任を否定して都内の病院に入院。こともあろうに入院中に喫煙していたことまで報じられ、「不眠、不安が続いていたことから病院のルールに深く思いをいたすことなく喫煙してしまった」と謝罪する羽目に。