聖火ランナーの“辞退リレー”が起きている。ロンドンブーツ1号2号の田村淳をはじめ、常盤貴子や渡辺徹、斎藤工ら著名人の辞退が続出。
「1年の延期でスケジュールが合わなくなったというのが大半の理由ですが、元五輪組織委会長の森喜朗さんの女性蔑視発言を受けて、辞退に傾いた人もいたでしょう」(スポーツ紙記者)
森氏の地元・石川県の七尾市内を走る予定だった常盤の代役は若村麻由美に決まったが、各自治体はこの“代走”探しに苦労しているという。
元日本オリンピック委員会(JOC)職員でスポーツコンサルタントの春日良一氏が語る。
「聖火ランナーは各自治体が候補者を挙げ、五輪組織委が許可を出す形で決まります。ランナーの役割は、分断を越えて人と人を繋げる灯火になること。本来は出身者などその土地と縁深い人が望ましいのですが、町おこしに繋げたい自治体は、“客寄せパンダ”として著名人を選ぶ場合がある。ランナーに帰属意識が薄いと辞退されやすい。
辞退者が出た各自治体は再び候補者を選んでいますが、町おこしを考えるとやはり縁が薄くても著名人が望ましく、しかしそうなると再び辞退される可能性がある。どこの自治体も悩んでいるようです」
常盤が選出された経緯も、出身地というわけではなく、能登を舞台にしたNHK朝ドラ『まれ』に出演していたというのが理由だった。若村を代役に選んだ経緯について石川県に聞いた。
「役者人生のスタートが能登で、劇団『無名塾』時代からよく能登での公演に出演されてきたそうです。能登には無名塾を立ち上げた仲代達矢さんが作った劇団ホール『能登演劇堂』もある。そのような経緯で若村さんを選ばせていただきました」(県民文化スポーツ部スポーツ振興課)
“縁ある人”を探すのも大変そうだ。
※週刊ポスト2021年3月19・26日号