大阪市の北東部に隣接する守口市に店を構える『伏見屋商店』。国道1号線沿いに凛と立つ淡い緑の建物の奥に広がる角打ち空間は、地元客の熱気で温まっている。
「父の代から親子二代で常連。店主も家族もみんな気さくで、気取らない店だから安心感がある。地元に長く根差していて、この町になくてはならない店、僕らのホームグラウンドですよ」(50代、サービス業)
カウンターではネクタイ紳士が、「結婚式でフォークギター奏でてオリジナルソング唄ってもらった仲」(同前)だという3代目店主の竹内幸伸さん(68歳)と語らい、楽しげに酒を傾ける。
「学生時代に酒屋でアルバイトしていたときに、スキー場で妻と出会ってね、これも何かの縁かな。25のとき酒屋の末娘(妻の章子さん、72歳)と一緒になった。俺はマスオさん(笑い)。店を継いで以来、長い付き合いのお客さんが多いですよ」(幸伸さん)
妻と妻の姉(冨美子さん・77歳)、4代目の長男(正幸さん、40歳)、家族4人で店に立つ。
「元々うちは大阪の天満で酒屋をやってたんですが、昭和11年頃にここ(守口)へ移ったんです。父が早くに亡くなったもので、先代の亡き母が女手ひとつで店を大きくしてね。なめられたらあかんてビシっとしてたからか、昔からうちのお客さんは行儀のいい方が多いんですよ。三姉妹やったから、夫が店継いでくれて母も喜んでましたね」(章子さん)
「お父さん、お母さん、まーくん、料理上手なお姉さん、家族皆が穏やかで居心地がいい。お客さんも色んな年代がいておもろい。70代、80代の大先輩もいて、馴染みの顔ばかりやから心地いいよ」(40代、卸売業)
「おやっさん(店主)の人柄がいいし、95%が知り合いだから安心して飲める。昭和の時間がずっと続いている感じでしょ。ここで一杯やって別の店行って締めにまた来たりして、何回来とんねんって(笑い)」(40代、金融業)
「職場が歩いてすぐだから、昼ご飯も食べに来て週6やね。昼も夜も来とる。本日2度目。10年通ってるから、足が勝手に向くねん」(60代、内装業)
客らがこの店をこよなく愛しているのが言葉のはしばしから伝わってくる。