2011年3月11日の東日本大震災から10年。あのとき注目を集めた人々のその後の姿を追った。
津波の直撃を受けた福島第一原発は全電源喪失に陥り、12日には建屋が吹き飛ぶ水素爆発を起こした。
放射能被害の不安が一気に広がる中、「反原発のカリスマ」として注目されたのが京都大学原子炉実験所の小出裕章助教(当時)だった。“原子力ムラ”の学者が多い中、厳しい口調で危険性を指摘する小出氏はテレビや講演に引っ張りだことなったが、一方では「不安を煽りすぎている」との批判も上がった。
小出氏は京大に在籍した41年間、助手(助教)から昇進することなく2015年に京大を定年退職していた。
その後、長野県松本市に移住。2015年7月から『アベ政治を許さない』のメッセージを掲げる活動を始め、現在も毎月3日には松本駅前で“スタンディング”を続けているという。小出氏は「スタンディングの後、参加者たちと交流会をやるのが恒例です」とだけ語った。
※週刊ポスト2021年3月19・26日号