生まれ変わったようなピッチングを見せているのが、阪神の藤浪晋太郎(26)だ。今キャンプでの活躍が認められ、矢野(耀大)監督から「投手部門のキャンプMVP」に選ばれた。
「2年ぶりにワインドアップに戻し、紅白戦や練習試合で好投しています。実戦3試合で8回投げて1失点と絶好調で、中日戦では最速158km/hのストレートを投げ込みました。余裕があるのかブルペンでも実戦に近い設定をイメージして投げている。これまでは遅刻の常習犯でしたが、このキャンプでは遅刻を一切せず外出禁止も守って、日暮れまでしっかり練習に取り組んでいた。こんなに笑顔が多かったキャンプ中の藤浪は久しぶりです」(阪神担当記者)
制球難に苦しみ、2年連続で開幕ローテーションから外れていた藤浪。虎党の間では「今年こそ完全復活」の声が聞こえてくるが、首脳陣は安心していないようだ。
「とくに矢野監督はまだ藤浪を信用していません。それは初めての実戦登板が2月7日の紅白戦だったことでもわかる。主力組はキャンプ後半に初登板するのが常で、藤浪も調子を崩す前の4年目までは実戦スタートが遅かったが、今年も2018年と同じ7日目の登板だった。目的は一軍と二軍を振り分けるためです。キャンプは好調だったものの、今後のオープン戦でどうなるか目を光らせている」(同前)
あるセ・リーグスコアラーは、“別の心配”を口にする。
「藤浪がワインドアップから入団1年目の途中でセットに変えたのは、動作が大きくなることで左肩が早く開き、球が抜ける傾向にあったからです。今のところまだ死球は出ていないが、ワインドアップに戻したことでまた荒れ球が戻ってくる可能性もある。今季も主力選手へのデッドボールを心配しています」
悪球も“復活”しなければいいが。
※週刊ポスト2021年3月19・26日号