大きな揺れが首都圏にも及んだ2月13日の福島沖地震を、事前に警告していた人物がいる。これまで数々の大地震の前兆をとらえてきた測量学の世界的権威で「MEGA地震予測」を主宰する村井俊治・東大名誉教授だ。
「MEGA地震予測」のベースとなっているのは、国土地理院が日本全国約1300か所に設置した「電子基準点」のGPSデータである。そのデータから地表のわずかな動きを捉え、基準点の1週間ごとの上下動を表わす「異常変動」、長期的な上下動を表わす「隆起・沈降」、東西南北のどの方向に動いているかを表わす「水平方向の動き」の3つの主な指標を総合的に分析している。
さらに昨年、過去1年分のGPSデータを学習型AI(人工知能)にインプットし、直近1週間の地表の動きと比較させることで、地震発生リスクを算出する地震予測を実用化。現在はその予測結果も「MEGA地震予測」に加味されている。
村井氏は「福島県沖地震」発生後の2月22日、有料メルマガで初めて場所や時期、地震の規模を明示した「号外速報」を発表。〈東北地方から北海道の太平洋岸の海域または陸域〉の解析データに異常があったことを明らかにした。
「福島県沖地震が起きたばかりですが、その後の様々な異常から、緊迫性が非常に高いと判断し、より強く警戒を呼びかけるべきだと考えました」(村井氏 以下「」内同じ)
この「東北・北海道の太平洋岸警戒ゾーン」では、岩手県にある電子基準点「岩手松尾」で9.04cm、秋田県にある「皆瀬」で8.51cm、福島県にある「二本松」で8.26cmの異常変動が観測されている。
「水平方向の動きでも、福島県沖地震以降、岩手県にある基準点から宮城県の基準点まで海域の1点に向かうような動きが見られる。東日本大震災の数日前にも酷似した動きが見られ、その海域が震源となったため警戒を強めています。『隆起・沈降』でも宮城県と福島県の境目で高低差が広がっており、歪みが大きくなっている可能性があります」
最新の予測で異常変動が確認されたのは、「東北・北海道の太平洋岸」だけではない。以下、村井氏が警鐘を鳴らす残り3つの警戒ゾーンを見ていく。
■北信越警戒ゾーン
新潟県にある基準点「松之山」で7.66cm、福井県にある「福井」で7.12cmの異常変動が見られる。
「2月中旬には、新潟県の『妙高高原』、石川県の『白峰』、富山県の『大山』、長野県の『白馬』、山梨県の『山梨高根』で5cm以上の異常変動が確認されました。2月中旬のAIによる危険度ランクでは、北陸地方が1位、信越・群馬県が2位となっています」