東日本大震災から10年。余震は今も続き、今年2月13日には最大震度6強の地震が東北地方を襲った。さらに、首都直下地震や南海トラフ地震をはじめとした、いつどこで起きるかわからない地震に備えるには、防災グッズが必要だ。
たとえば、「大量のタオル」と「温めて食べる保存食」。どちらも、避難の際にはとても役立つものにも思えるが、実際にはどちらなのかだろうか? 東日本大震災の被災者の方に体験談を聞く。
「津波の多いこの地域では、“津波からの避難時は何も持たずに逃げろ”というのが常識。東日本大震災当日も、避難所に来た約200人中、防災袋を持ってきたのは4~5人でした」
と話すのは、防災士の佐藤一男さんだ。
「そのうちの1人が大量のタオルを持ってきたんです。濡れた体をふいたり、けがの応急処置にも役立ち、助かりました」(佐藤さん・以下同)
温めて食べる保存食も役立ちそうだが、大勢が集まる避難所で自分たちだけ温かいものを食べるのは、周りの目もあり、私たちが平常時に想像する以上に難しいと思った方がいい。
防災袋を用意していたとしても、家に取りに帰る時間がないかもしれない。さらに、防災袋が重くて逃げる足が遅くなっては本末転倒だ。では、防災袋は必要ないのか。
「支援もありますが、必要なものが必要なだけもらえるとは限りません。袋という形でまとめるかどうかより、必要なものを必要な分だけ、自宅などに備えておくことこそ大事だと実感しました」
具体的に何をどこに用意すべきかをまとめた。
場所ごとに違う防災グッズ 分散ストックリスト
●キッチンに「避難生活セット」
在宅避難用の水と食料は、ローリングストック(※)としてキッチンまわりなどの使いやすい場所に保管。そのほかは、キャリーバッグやプラスチックケースなどにまとめておこう。
※備蓄した食材を普段の食事に取り入れて、食べた分だけ買い足していく方法。
□飲料水やお茶 (1人3l×2日分)
□非常食(パックご飯、レトルトカレー、缶詰など。1日3食×2日分)
□給水袋(ポリタンク)
□非常用トイレ+目隠し用ポンチョ(1人7回×3日分)
など
●寝室に「脱出ポーチ」
防災袋の場所(玄関)にたどり着くための、つなぎのような役割。ポーチなどに入れ、地震の揺れで飛ばされないようにベッドにくくりつけたり、引き出しに入れておこう。
□予備のめがね
□小型の懐中電灯
□手袋(軍手)
□笛(ホイッスル)
□折りたたみスリッパ
など