「長瀬さんが緊張しているそぶりは一切、ありませんでした。今作でプロレスラー役を演じるために10kg以上体重を重くした分、“音域が広がったんだ”と言っていましたね。
TOKIOは踊りませんが、ムード歌謡に合わせて脚本の宮藤官九郎さん(50才)の奥さんが振り付けたオリジナルダンスを、長瀬さんはすぐに覚えていました。なかなかダンスを覚えられなかった永山さんに長瀬さんが“こうやるんだよ”とドラマさながらの野太い声で“指導”していましたよ」(前出・ドラマ関係者)
長瀬が歌ったのは番組オリジナル曲の『秘すれば花』。歌詞には「こんなマスクじゃ隠せない」「ホテルとオフィスのディスタンス」といった時事ワードが盛り込まれたコメディー感あふれる楽曲だ。
しかも、面白くてキャッチーなだけではない。楽曲には長瀬、そしてTOKIOに対するリスペクトが込められていた。ドラマでの設定では、その曲の作詞は「なかにし札」、作曲は「筒美洋平」という人物とされた。
「これは作詞家の故・なかにし礼さん、作曲家の故・筒美京平さんをオマージュしたものでしょう。このコンビは、TOKIOの代表曲である『AMBITIOUS JAPAN!』を作っているんです。細かい演出に長瀬さんへの愛が感じられます」(テレビ局関係者)
そうした計らいに気づいたファンも多く、ドラマの長瀬のパフォーマンスに大興奮。「さすが、華があった」「歌声最高!」「この回は永久保存版だ」など、SNSは大きく盛り上がった。
実際、共演者も長瀬のパフォーマンスに魅了されたようだ。長瀬の父親役を演じる西田敏行(73才)に当日の歌唱シーンについて聞くと、「あれは最高だったよ!」と、わが子の久々の活躍を喜んでいるかのようだった。
長瀬が意気に感じたクドカンの熱意
長瀬の歌がここまで注目される理由──それは、約3年間にもおよんだ長い封印が解かれたからだ。
「2018年の山口達也さん(49才)の強制わいせつ事件以来、長瀬さんは公の場で歌っていません。長瀬さんは、自分はTOKIOというバンドのメンバーであるという思いを強く持っている。長瀬さんにとって、メンバーが欠けた状態での音楽活動は考えられないのです。それが、最後の最後で歌う姿を見せるなんて……奇跡としかいいようがありません」(音楽業界関係者)
長瀬はこの3月をもってジャニーズ事務所を退所する。昨年7月、ファンクラブサイトに発表したコメントで、《来年の3月をもって芸能界から次の場所へ向かいたいと思います》と将来についての考えを明かした通り、事実上の芸能界の“引退”であり、裏方に回るとされている。
「退所後は、芸能活動とは別に、ファッションブランドを立ち上げ、その分野で世界進出を目指すという報道もあります。今作が最後のドラマ出演となり、公の場で歌う姿を見るのはこれが最後になるかもしれません」(前出・テレビ局関係者)
脚本家の宮藤は長瀬の“最後の花道”を周到に用意していたのだ。