キャストの大半を声優が務めていることで話題のテレビドラマ『声優探偵』(テレビ東京系)。声を生業とする声優と全身を使って演技する俳優は、一見するとまったく違った要素が必要な職業のようにも思える。それでも、声優の生身の演技が注目されるケースはどんどん増えている。
『声優探偵』は、声優を引退して探偵となった主人公が特殊能力を武器に事件を解決していくコメディ・ミステリー。主演を務める沢城千春は、これまで『遊☆戯☆王VRAINS』や『25歳の女子高生』など、数多くのアニメ作品で声優として活躍してきたことでも知られる。
“新感覚ボイスミステリー”というキャッチコピーに見られるように、物語のテーマ自体が声優を中心とした作品だが、加えて各話ごとに著名な声優がゲストとして出演。3月5日に放送された第1回では、人気アニメ『黒子のバスケ』の主要人物・火神大我役でも知られる声優の小野友樹が本人役として登場した。
もちろん声優が俳優として活躍すること自体は珍しい試みではない。直近では大ヒットアニメ『鬼滅の刃』で主人公・竈門炭治郎役を演じた人気声優の花江夏樹が、テレビドラマ『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』(TBS系)に俳優として出演したことも話題を呼んだ。
これまでにも、国民的アニメ『それいけ!アンパンマン』の主人公・アンパンマン役の声優としても知られる戸田恵子や、ディズニー・アニメや洋画の吹き替えなどで活躍している山寺宏一など、人気声優でありながら俳優としても存在感を放っている人物は数多い。
「声優である前に俳優です」
舞台を中心にアニメについても執筆活動を行うライターの河野桃子氏は、声優が俳優の仕事をすることについて、こう解説する。
「演じることにおいて、声はとても重要な要素です。とくに声優の方は、台詞が聞き取りやすく、声による繊細な心の動きの表現が豊かなので、声の力で視線を引きつけ、物語を伝える技術に長けています」
さらに河野氏は、本来は俳優の中の一部として声優の仕事があったことに触れつつ、現在でも声優の養成所や専門学校などにおいて俳優としてのレッスンを行うことがあると続ける。