中国の家電量販店大手「国美グループ」の創業者で、一時は中国の長者番付でトップを競ったこともある黄国裕氏は、2008年に贈収賄や違法取引などの罪で逮捕・起訴、裁判で懲役14年の判決を受けたが、1年減刑されて、今年2月に正式に釈放されていたことが分かった。黄氏はグループの会議で、「企業活動における愛国、愛党の意義を十分理解した」などと述べて、中国共産党への忠誠を誓うとの心情を強調した。米国に拠点を置く中国問題専門のニュースウェブサイト「多維新聞網」が報じた。
黄氏は1969年5月、広東省出身の51歳。家は貧しく、16歳で兄とともに内モンゴルに移り商売を始め、徐々に事業を拡大、北京で家電量販店を開業した。家電販売は「厚利」をむさぼるのが当然とされた時代に価格競争を徹底し、同業者がしなかった薄利多売と積極的な新聞広告で顧客を獲得した。
1990年代後半から多店舗展開に乗り出し、一定のエリア内に集中的に出店する戦略を北京で成功させ、全国に拡大。2004年には家電販売でトップとなり、各種の長者番付で1、2位を競うようになったが、反党的な発言を繰り返していたことが影響したのか、ビジネスが絶頂期だった2008年に前述の容疑で逮捕された。昨年6月に仮釈放され、今年2月に正式に釈放となった。
黄氏は正式に釈放が決まったあと、国美グループの幹部会議に出席し、「企業を経営する時間が長くなればなるほど、愛国心、法律遵守、起業家精神の革新、社会への還元が重要であり、それらの要素が企業の長期的な発展にとって何を意味するのかを深く理解することができた」などと発言した。
ある中国問題の専門家はネット上で、「中国共産党は優良企業の経営にしばしば介入することから、企業は党に有利な行動を強いられる結果、徐々に独立性を失っていく。経営者が反発すると、党は権力を用いて、彼らを破滅に追い込むのだ」と指摘している。