大の相撲ファンであるモデル・市川紗椰が、関取在位117場所という歴代1位タイの記録を残し、2019年に引退した元関脇・安美錦(現・安治川親方)にインタビュー。現役時代の“業師ぶり”や朝青龍からの金星について、とっておきの話を聞いた。
市川: 業師・安美錦はいつ生まれたのですか。
安治川:業師かなァ? 魁皇関の上手投げみたいに何か代名詞あります?(笑い)
市川:ご謙遜を。型がないところこそが業師ですよ。決まり手の数も多いし。
安治川:育った青森に体の大きい子があまりいなくて、頭をつけて相手の技を封じる相撲を取るのが主でしたからね。それが活きたのかもしれません。
市川:作戦は結構考えていたんですか?
安治川:最初は取組の流れをフローチャートみたいに考えていました。でも途中で飽きまして(笑い)。その後は相手の一番重要な点を頭に入れて体に任せました。昔は攻略しがいのある力士がいて楽しかったですね。朝青龍関とか。
市川:その朝青龍関からは金星4つ。どうしてそんなに勝てたんですか。
安治川:出稽古とか巡業で弱点を見つけて、本場所で倒したんです。何場所もかけて。
市川:えっ、何場所も?
安治川:今ならもう言ってもいいかな。彼は張り差し気味に上手を取りに来る時、立ち会いで左の脇が空く時があって、そこを突いたんです。でもいきなり右を差して警戒されたら次はないので、4場所くらい左おっつけ、左前褌狙いで布石を打った。そしてある時いきなり差し手を変えて、左脇を狙って、立ち会いから一本差して走ったんです。一発で決まりましたね。この作戦で2場所(2007年夏、名古屋)勝ちました。元は取ったかな(笑い)。
市川:すごい!