自らの運転で大事故を起こし、足を複雑骨折する重傷を負ったゴルフ界のスーパースター、タイガー・ウッズ(45)。7月の東京五輪出場はおろか、選手生命すら危ぶまれている。しかし、過去には怪我から這い上がり、晴れ舞台に見事戻ってきたゴルファーがいる。
往年の名ゴルファー、ベン・ホーガン(1997年没)もそのひとりだ。1949年、それまで米ツアー53勝を挙げていたホーガンは、自動車を運転中にバスと正面衝突。骨盤を複雑骨折し、主治医からは「二度と歩けないかもしれない」と告げられた。しかし、ホーガンはわずか11か月後にツアーに復帰。翌年の全米オープンで優勝し、その後、メジャー大会を5度制した。
「復帰戦はプレーオフで敗れての2位。足を引きずりながらのラウンドは“奇跡の復活”と讃えられました。170cm、65kgの小柄な身体ながら、解剖学を学んでスイングを分析した理論派で、理論をさらに追求し、猛練習して復活した。
その頃に米ツアーでラウンドした杉本英世プロは、『ホーガンのスイングが速すぎて見えなかった』と話していた。歩行困難な状態からそこまでに回復するのは並の努力ではない」(ゴルフジャーナリストの菅野徳雄氏)
日本では、2002年と2007年の賞金王に輝き、“和製タイガー”と称された谷口徹(53)も自動車事故からカムバックした。09年2月、高速道路を運転中にスリップして側壁に衝突し、車は大破。谷口は左半身を強打し左肩を脱臼した。だが、開幕戦からの3試合を欠場しただけでツアーに復帰、9月のANAオープンで優勝するという鉄人ぶりを見せた。
※週刊ポスト2021年3月19・26日号