コロナ禍で健康に関心を持つ人が増えている。明治安田生命保険が行った調査によれば、ステイホームを機に健康意識が高まった人の中で、最も実践者が多かった改善策が「食事・栄養に気を配る」ことだったという。食生活を気にする上で、特に避けるべきだといわれているのが、特定の成分を過剰に摂取してしまうことだ。お茶の水健康長寿クリニック院長の白澤卓二さんはこう話す。
「例えばビールとレバーの組み合わせは、ビールのアルコールで肝機能が落ちたところに鉄分の過剰摂取につながりやすく、脂肪肝や肝硬変などのリスクが高くなります。
『アボカド+きゅうり』などカリウムが多い食材の組み合わせもやめた方がいい。カリウムには利尿作用があり、水分が体外に排出されやすい。排尿には体の熱が外に放出されやすいという特徴があり、慢性的な冷えにつながります。冷えは免疫力の低下から心疾患まで、さまざまな障害に直結します」
ジャムたっぷりのトーストにハムエッグといえば朝食に並ぶことが多いメニューだが、発がん性物質を摂っているリスクもある。
「ハムなどの加工肉には発色剤である亜硝酸塩が使われることが多い。単体では人体に影響が少ないとされていますが、ジャムやマーガリンに含まれる保存料や酸化防止剤と一緒に食べることで、発がん性物質を生じる可能性があると考えられています」(白澤さん・以下同)
和定食の定番である「焼き魚+漬けもの」も要注意。魚を焼くときにできるたんぱく質のジメチルアミンは、漬けものの添加物である亜硝酸塩と一緒に食べると、発がん性物質を発生させる可能性がある。
輪切りにしたレモンを紅茶に入れるレモンティーも気をつけたい。
「輸入レモンには輸送中のカビを防止するために、防カビ剤が使われていることが多い。紅茶のカフェインと一緒になると、発がん性物質ができる可能性があります。ただし、ビタミンCは水に溶けやすい性質があるため、紅茶など液体に入れて飲むのは理にかなっています。防カビ剤不使用のものを選ぶ、または皮をしっかりむくか、搾って果汁だけ入れるなどひと手間かけることをすすめます」
一緒に食べても健康に害はないが、せっかく摂った栄養素が無駄になる組み合わせもある。代表的なものが、海鮮丼やにぎり寿司でよく見かける「いわし+えび・かに」「イクラ+帆立」の組み合わせだ。
「えびやかにの甲殻類には動物性食物繊維のキトサンが含まれており、余分な脂肪の吸収を抑えてくれます。一方、健康にいいとされる青魚が含有する良質な脂分のDHAやEPAまで吸収されなくなってしまう。
また、生の帆立にあるアノイリナーゼという酵素は、イクラのビタミンB1を破壊してしまいます。『イクラ+納豆』の組み合わせも控えた方がベター。納豆には骨粗しょう症の予防に効果があるビタミンKが豊富ですが、イクラに含まれるビタミンEがビタミンKの活性を阻害するのです」
※女性セブン2021年3月25日号