スギ花粉がピークを迎え、多くの人が花粉症に苦しむこの季節。“花粉症に効く”と言われる食べ物を摂って、対策しようという人も多いだろう。たとえば、トマトはリコピンの高い抗酸化力で免疫機能を整えるため、花粉症の症状もやわらげるといわれている。
しかしその一方で、スギ花粉アレルギーのある人がトマトを大量に食べると、別のアレルギーを発症する恐れがあるというのだ。 日本医科大学大学院医学研究科頭頸部感覚器科学分野教授の大久保公裕さんが解説する。
「花粉-食物アレルギー症候群(PFAS)といって、口の中がかゆくなったり、吐き気がしたりするアレルギーです。
スギ花粉とトマトのたんぱく質の構造が似ているため、発症しやすいと考えられています。同様に、白樺やハンノキなど、カバノキ科の花粉症がある人はりんごやもも、イネ花粉症ならメロンやすいかなどで同じ症状が起こります。
ごく稀にですが、アナフィラキシーショックを起こせば死亡するリスクもある。果物や野菜を食べて口の中に異常を感じたら注意してほしい」
たんぱく質は温めれば性質が変わるため、加熱して食べるのはひとつの手だ。
さらに有効な花粉症対策として、新宿溝口クリニック院長の溝口徹さんはビタミンDの摂取をすすめる。
「ビタミンDは、免疫力を上げつつ、花粉症の原因である免疫過剰も抑制することがわかっています。
あん肝などの魚の内臓のほか、しらすやししゃもといった小魚、きのこ類にも豊富です。植物性乳酸菌と食物繊維が豊富な納豆にしらすをたっぷりのせ、さらに免疫力を上げるオメガ3系のえごま油をかけるのがおすすめです」
溝口さんによれば、ビタミンDの摂取目標は1日2000IU。食事だけで摂るのが難しければ、サプリメントを利用してもいい。
もちろん、“正解”がわかったからといって、そればかり食べるのは逆効果だ。
「いくら体にいいからといって、同じものばかりでバランスの悪い食生活をしていては本末転倒。食事が偏っている人は、アレルギーを引き起こしやすいというデータもあります」(大久保さん)
花粉症対策に妄信、過信は禁物。正しい知識で対策を。
※女性セブン2021年3月25日号